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令和 3年11月定例会本会議-12月01日-03号

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  1. 長野県議会 2021-12-01
    令和 3年11月定例会本会議-12月01日-03号


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    最終取得日: 2023-06-16
    令和 3年11月定例会本会議-12月01日-03号令和 3年11月定例会本会議 令和3年12月1日(水曜日)  出席議員(57名)   1 番 望月義寿    27 番 寺沢功希   2 番 小林君男    28 番 両角友成   3 番 小林あや    29 番 清水純子   4 番 清水正康    30 番 小池久長   5 番 加藤康治    31 番 酒井 茂   6 番 川上信彦    32 番 堀内孝人   7 番 山田英喜    33 番 石和 大   8 番 大井岳夫    34 番 依田明善   9 番 丸茂岳人    35 番 山岸喜昭   10 番 花岡賢一    36 番 小島康晴   11 番 池田 清    37 番 小林東一郎   12 番 熊谷元尋    38 番 毛利栄子   13 番 百瀬智之    39 番 和田明子   14 番 山口典久    40 番 諏訪光昭   15 番 小山仁志    41 番 丸山栄一   16 番 竹内正美    42 番 小池 清   17 番 竹花美幸    43 番 宮本衡司
      18 番 宮下克彦    44 番 清沢英男   19 番 大畑俊隆    45 番 垣内基良   20 番 共田武史    46 番 鈴木 清   21 番 丸山大輔    47 番 高村京子   22 番 髙島陽子    48 番 宮澤敏文   23 番 荒井武志    49 番 西沢正隆   24 番 埋橋茂人    50 番 風間辰一   25 番 続木幹夫    51 番 佐々木祥二   26 番 中川博司    52 番 向山公人   53 番 平野成基    56 番 服部宏昭   54 番 本郷一彦    57 番 望月雄内   55 番 萩原 清         ─────────────────── 説明のため出席した者   知事        阿部守一     農政部長      小林安男   副知事       関昇一郎     林務部長      井出英治   企画振興部長    伊藤一紀     建設部長      田下昌志   総務部長      玉井 直     会計管理者兼会   県民文化部こど            計局長       鈴木英昭   も若者局長     野中祥子     公営企業管理者   健康福祉部長    福田雄一     企業局長事務取扱  小林 透   環境部長      猿田吉秀     財政課長      矢後雅司   産業政策監兼産            教育長       原山隆一   業労働部長     林 宏行     教育次長      今井義明   観光部長      渡辺高秀     警察本部長     安田浩己                      監査委員      田口敏子         ─────────────────── 職務のため出席した事務局職員   事務局長     小山 聡      議事課担当係長   矢島修治   議事課長     百瀬秀樹      議事課主査     水澤まゆみ   議事課企画幹兼  丸山俊樹      総務課課長補佐   川村亜由美   課長補佐               兼庶務係長                      総務課担当係長   青木武文                      総務課主事     古林祐輝         ───────────────────  令和3年12月1日(水曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(宮本衡司 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、昨日に引き続き行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━━ △行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(宮本衡司 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  順次発言を許します。  最初に、竹花美幸議員。       〔17番竹花美幸君登壇〕 ◆17番(竹花美幸 君)皆様、おはようございます。竹花美幸でございます。  まず最初は、2050ゼロカーボンに向けての取組についてからです。  2019年6月15、16日に軽井沢町が主要20か国持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合の開催地となり、併せて、持続可能な社会づくりのための協働に関する長野宣言を世界に向けて発信しました。  長野県では、2019年12月6日、「気候非常事態宣言―2050ゼロカーボンへの決意―」をしたところですが、2021年6月8日に長野県ゼロカーボン戦略(第4次長野県地球温暖化防止県民計画、第1次長野県脱炭素社会づくり行動計画)を策定し、2021年度から2030年度までの10年間の基本目標、2030年度までの重点方針を示したところです。  2021年4月に、政府は、2050年目標と整合的に、目標として2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指すという方向性を示しました。2021年6月の成長戦略実行計画では、ロードマップ策定などの取組を具体化することが書かれています。地域脱炭素ロードマップに基づき、少なくとも100か所の脱炭素先行地域において2030年までに民生部門の電力消費における脱炭素実現を目指すことが示されました。  そこで、長野県ゼロカーボン戦略ロードマップを進めていく中において、2030年までの重点方針、分野別の2030年の目標に沿って具体的に項目を絞ってお聞きしたいと存じます。  まずは交通インフラの整備についてです。  長野県は、2030年までに乗用車の1割をEV、さらに2050年までには全車EV、FCVとしていますが、県民に購入を促すためにどのような政策を考えているのでしょうか。  また、2030年目標で未設置区間ゼロ、電池切れゼロの充電インフラを整備する計画になっていますが、山に囲まれた県内77市町村全てにFCV、EVの普及を促すためには、インフラ整備が不可欠になります。具体的にどのように展開していくのか、猿田環境部長にお伺いいたします。  次は、再生可能エネルギーの普及拡大についてです。  現在の日本の発電量は、約75%が火力発電。ゼロカーボンを実現するためにも、石油や石炭への依存を削減して、今の状況から、これに代わる代替エネルギーの開発を急ぐ必要があります。エネルギー自立の観点から、長野県の自然、地形を生かした電力を最大限供給するロードマップをどう描くかによって、実効性のある結果を出せるか、岐路に立たされていると思います。  長野県ゼロカーボン戦略では、再生可能エネルギー生産量を2050年には3倍以上拡大のシナリオが描かれています。太陽光発電、太陽熱利用は全ての建物に、バイオマス熱利用は灯油からまき、ペレットへの転換とされています。  そこで、今回は、小水力発電、バイオマス発電、地熱発電について3点お伺いいたします。  長野県企業局では、2025年までに水力発電所を36か所、年間発電電力量を約4億4,000万キロワットアワー、約12.2万世帯分、15%を計画しています。  1点目は、長野県は、本流に注ぎ込む支流だけでなく、支流に注ぐ勾配のある沢も豊富な水量を有し、小水力発電には適しています。規模の大きな水力発電所については長野県が、市町村でもできる小規模の小水力発電を展開していくためには、ノウハウを持った県が市町村に対して支援していくことも必要だと考えますが、どのように支援していかれるのか、猿田環境部長にお伺いいたします。  2点目は、森林資源に恵まれた長野県において、バイオマス発電の普及は重要な施策となりますが、現状と課題、これからの展開をどうお考えか、井出林務部長にお伺いいたします。  3点目は、火山の多い長野県において、地熱発電も重要な資源になりますが、国立公園、国定公園も含めて施設の設置促進を今後どのように展開していくのか、猿田環境部長にお伺いいたします。  続いては、農業分野における自然再生エネルギーの活用についてです。  群馬県上野村では、村の資源である木材を有効活用し、ペレットを製造。それを燃料にしてバイオマス発電を行い、電気と熱を利用して上野村きのこセンターでシイタケ栽培を行っており、多くの雇用を生み出し、年商数億円を売り上げています。また、安曇野市にある株式会社エア・ウォーターでは、バイオマス発電をベースに野菜の生産を行っています。そこで、農業分野におけるバイオマス発電の取組に対しどのような支援をしていくのか、小林農政部長にお伺いいたします。  続いては、ゼロカーボンに向けて、県内産業に対する支援についてです。  NHKで、EV化が進む自動車業界の今後の展望、影響について特集をやっておりました。EV化が進むことでエンジン内燃機関がなくなり、部品点数が3割くらい減と言われています。今ある雇用、550万人のうち100万人が業態の転換が必要と言われています。  自動車においては、ガソリン・ディーゼル車から電気自動車、燃料電池車等に移行する自動車業界に電動化の波が押し寄せていることに伴い、部品点数が減る一方で、参入する企業が出てきています。従来の自動車メーカーとそれを支える部品メーカーの生き残りを図る中、長野県のものづくりの技術支援や産業の構造転換を図るため、県内企業に対してどのような支援をしていくお考えでしょうか。  さらに、平成28年5月に策定した長野県航空機産業振興ビジョンにより、南信地域に高度人材育成や研究開発、実証実験等の支援を行ってまいりましたが、2050ゼロカーボンに向けて自動車同様に転換を図る必要があると考えますが、長野県は具体的にどのように支援をしていくのでしょうか。以上2点を林産業労働部長にお伺いいたします。  続いては、ゼロカーボン達成への課題についてです。  静岡県裾野市がトヨタの実証都市「ウーブン・シティ」と連携して、温室効果ガスの排出実質ゼロを目指すカーボンニュートラルシティーを宣言して実証実験を開始しました。一方、長野県は、信州ゼロカーボンBOOK県民編及び事業者編により、将来のまちづくりの在り方を描いています。これを実現するには、長野県も、民間企業と連携し、同様の実証実験を繰り返し、得られたノウハウを市町村にも拡大させていく必要があると考えます。  今から29年後には2050年を迎えます。皆様お幾つになっておられるでしょうか。ゼロカーボンを達成した2050年にはどんな世界が広がっているでしょうか。想像してみます。  化石燃料を燃やさないので、自動車や工場などから窒素酸化物のような大気を汚す物質が放出されることはなくなり、空気は今よりもずっときれいになっていることでしょう。見上げれば、澄んだ空に美しい星々が広がっているはずです。  木質バイオマス発電が盛んになる過程では、木材を供給するための新陳代謝が盛んになり、森林の整備がこれまで以上に進み、災害に強い国土づくりの一助にもなることと思います。また、木材需要の増加で、林業自体の再興にもつながるでしょう。地元の木材をふんだんに使って高い気密性で建てられた住宅には木々の香りがあふれ、屋根に設置されたソーラーパネルにより自宅で消費するエネルギーの大半を自家発電できるようにもなっているでしょう。  交通面に目を転ずると、カーシェアリングが進み、県全体の自動車保有台数は減少していることと思います。一家庭に1台の自動車は不要になり、エネルギー消費量は大きく減少することでしょう。そして、サラリーマンの自宅にはAI制御の乗り合いの電気自動車が迎えに来てくれて、一眠りしている間に勤務先まで送り届けてくれる。はるか先にあると感じていた未来がもうそこまで来ていると感じています。  ここまでるる述べてきましたが、ゼロカーボンを達成した2050年には、今よりずっとクリーンでスマートな社会になっていることと想像します。これを絵に描いた餅に終わらせることなく、長野県の未来を切り開いてほしいと切に願います。  そこで、猿田環境部長にお伺いいたします。  気候非常事態宣言により、長野県は2050年までに二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする決意を高らかに表明しましたが、施策全般の実質的な司令塔の役割を果たす環境部長として、ゼロカーボンを達成するために最も大きな課題はどんなことだとお考えですか。そして、その課題を乗り越えるためにどのように取り組まれるのでしょうか。  続いては、あらゆる主体との共創と行動についてです。  イギリス北部で開催された国連気候変動枠組条約第26回締約国会議、COP26に合わせた日本パビリオンのイベントに阿部知事がオンライン参加し、基調講演されたことが報道されました。知事は、基調講演の中で、本県のゼロカーボン戦略を説明するとともに、国内外の政府・非政府組織や企業等とのパートナーシップを構築し、長野県として世界の脱炭素化に貢献していく決意であることを表明したと提案説明の中で触れました。また、全国知事会の脱炭素・地球温暖化対策本部の本部長に知事が就任し、全都道府県知事がメンバーとなるこの本部では、脱炭素化に向け、政府や経済界など多様な主体との共創を進めること、また、都道府県自らが積極的な行動を行うことを重点方針として掲げており、日本の脱炭素化を地域主導で進めるべく取り組んでいくことも提案説明の中でお話がありました。  さらに、県は、ゼロカーボン社会の実現を目指すため、サステナブルNAGANO共創プラットフォーム(仮称)を立ち上げるとのことで、今回提出された補正予算案に活動拠点の開設準備経費が盛り込まれました。全国知事会でもリーダーシップを取り、環境先進県長野を目指す意気込みがひしひしと伝わってまいります。  今回のCOP26関連の中で大変残念だったことがございます。それは、当初県内の高校生をイギリスの現地に派遣する予定だったところ、新型コロナウイルス感染症の影響で中止になってしまったことです。言うまでもなく、将来の日本を担っていく若者には、ぜひとも様々な機会を捉えて現場の空気に直接触れる場面をつくってほしいと願います。国際的なイベントはもちろんのこと、これから立ち上げるプラットフォームという場の設定も、若者が誰かと直接話をして触れ合い、体験することに大変意義があると感じます。  また、起業率が低迷している長野県では、起業の動きを活発にしようと様々な仕掛けをしています。各種起業イベントを開催するほか、教育現場で試行的に起業家教育をしたこともございます。将来起業を考えている人たちが、既に成功している先輩起業家と直接話をすることは大きな後押しになるとの話も聞きます。先輩が身にまとう空気感、オーラのことを、彼らの中では熱量と表現することがあるようです。環境面での取組も同様に、熱心に取り組んでいる人たちの熱量、オーラに触れることは、将来のゼロカーボンのリーダー的人材を育てていくために大変意義深いものと考えます。  そこで、ゼロカーボンを実現していく上では、未来を生きる若者の積極的な参画が不可欠と考えます。ゼロカーボン社会を牽引していく人材の育成に向けどのように取り組んでいくのか、阿部知事にお伺いいたします。  続いては、動物虐待についてです。  松本市のブリーダーに関して、11月4日に事業所の元社長らが動物愛護管理法違反容疑で逮捕されました。テレビのニュースで知り、一瞬言葉を失いました。この間、多くの動物愛好家の皆様や犬猫を救う会の皆様がいたたまれない気持ちで御心配くださいました。二度とこのような悲しい動物虐待事件が起こらぬよう、検証と対策をしっかりと講じていただきたいと切に願わずにはおられません。  松本の事件については9月議会でも質問がなされており、健康福祉部長の答弁によりますと、長野県の対応が十分でなかった可能性があり、当時の対応についての検証や一定規模以上の動物取扱施設に対して年度内に一斉点検を行うとのことでありました。  令和2年4月に、国は、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針を改定しました。都道府県は、この国の基本指針に沿って動物愛護管理推進計画を定めなければならないとされています。長野県は、人と動物が共生する潤い豊かな社会の実現をキーワードに、長野県の動物の愛護及び管理に係る施策について目標値などを掲げ、平成20年3月に長野県動物愛護管理推進計画を策定し、平成26年に一度改訂されています。法や条例や計画は本当に機能しているのでしょうか。災害級の動物虐待とまで言われた今回の痛ましい動物虐待事件は、全国的にも与えた影響は大きく、多くの方がその行方と長野県の対応を注視しておられます。今後、長野県の厳しい対応と対策が社会的にも全国的にも広がり、二度とこのような痛ましい悲しい事件が起こらぬよう、そして、動物を大量流通させる昨今のペット市場の影にも目を向け、動物販売を取り巻く環境改善にもつながることを願い、2点について福田健康福祉部長にお伺いいたします。  まず1点目は、一定規模以上の動物取扱施設に対する一斉点検の進捗状況はどうでしょうか。また、どのようなプロセスで検証を進めていかれるのでしょうか。  2点目は、改めて松本市のブリーダーが動管法違反容疑で逮捕された事件をどのように受け止めておられるでしょうか。また、事件の教訓を改正する推進計画の中にしっかりと反映していくべきと考えますが、いかがでしょうか。さらに、その内容はどのようなものか、お伺いいたします。  続いては、持続可能な地域づくりに向けた公共交通の維持発展についてです。  人口減少、高齢化が深刻な時代を迎える中、鉄道やバス、タクシーなどの公共交通は、通学、通勤、通院など、県民の皆様の日常生活を維持することはもとより、これからの地域の持続的発展に欠かすことができない重要な社会基盤です。  9月議会の知事議案説明において、県としてこれまで以上に主体的に関わりながら、長野県に適した地域公共交通システムをつくり上げていかなければならない。脱炭素社会の実現や魅力ある観光地域づくりなどの視点も持ちながら未来志向で公共交通の維持発展に取り組んでいくとのお話がなされました。  11月16日に、県全域を対象とした将来に向けて持続可能な公共交通の在り方を探る県公共交通活性化協議会が開催され、県内10広域圏ごとに地域別の部会を発足させ、地域の実情に合わせた公共交通の再構築などを検討していくことが過日信濃毎日新聞に報道されました。  地域公共交通の在り方については、市町村にとっても最重要課題となっており、例えば、佐久市では、分かりやすい、使いやすいスマートな公共交通の構築を目指し、現在、課題解決に向けた実証運行を行っているところでございます。高齢になっても免許証を返納できない実情や、山間地では特に課題が大きい公共交通については、長野県がリーダーシップを取り、今後の取組、展開を期待いたすところでございます。
     そこで、3点について伊藤企画振興部長にお伺いいたします。  1点目です。県内の公共交通の現状と課題をどのように認識しているのでしょうか。  2点目は、県内の10広域圏ごとに置く部会の概要とスケジュールについて、さらに、地域の実情に合わせた再構築をどのように協議、支援し、形にしていくのでしょうか。  3点目は、持続可能な公共交通の在り方として、将来的に目指すべき姿をどう描いているのでしょうか。また、どのような視点を持って長野県に適した地域公共交通システムをつくり上げていくのか、お伺いいたします。  以上、明確な答弁をよろしくお願い申し上げます。       〔環境部長猿田吉秀君登壇〕 ◎環境部長(猿田吉秀 君)私には、2050ゼロカーボンに向けての取組として4点御質問を頂戴いたしました。順次お答えいたします。  最初に、電気自動車、EVや、燃料電池自動車、FCVの普及策についてのお尋ねでございます。  EV、FCVの普及を促すための政策といたしましては、EV等の購入に対する直接的な支援と、EV等を利用しやすい環境の整備という二つが考えられます。このうち、車両の購入につきましては、補助金額を拡充するなど国が積極的に支援を進めていることから、県といたしましては、充電・充填インフラの整備に重点を置いているところでございます。  その具体的な取組としましては、一つには、現行の長野県次世代自動車インフラ整備ビジョンの改定を進めておりまして、民間事業者と連携しながら、道の駅や主要道路等への充電設備の計画的、効果的な整備を促進してまいります。  もう一つとして、長野県地球温暖化対策条例の改正により、大型小売店舗や集合住宅など多数の方が利用する施設に対し充電設備の設置を努力義務化することを検討しており、現在パブリックコメントを実施中でございます。  EVにつきましては、この1年、新たな車種を発表するなど、メーカーの動きも活発化しております。県といたしましては、こうした民間の動きや国の施策とも連動しながら、さらなる効果的な促進策を検討、実施してまいりたいと考えております。  次に、市町村が行う小水力発電への支援についてでございます。  本県の豊富な水資源を生かして県内市町村が実施している小水力発電施設は大小合わせて25か所ございます。市町村が行う小水力発電の事業化に際しましては、可能性調査等に必要な経費について、長野県ゼロカーボン基金を活用し、収益納付型の補助を行っているところでございます。また、環境部、農政部、建設部、企業局などで構成する小水力発電キャラバン隊において、各種許認可手続の御相談やノウハウを含めた技術的な助言を行っているところでございます。  加えて、来年4月からは、改正地球温暖化対策推進法の施行により、市町村が再エネ生産設備等を誘導する促進区域制度がスタートすることとなることから、市町村が円滑に区域の設定ができるよう必要な支援を進めてまいります。  3点目といたしまして、地熱発電についてのお尋ねでございます。  地熱発電に関しましても、長野県ゼロカーボン戦略において、自然保護や地域のコンセンサスとの両立を図りつつ普及を促進していくこととしております。  現在、FIT制度の認定件数は1件にとどまっておりますが、発電に向けた調査につきましては、長野県環境審議会温泉審査部会で審議を経たもの、または審議中のものが合わせて3件ございます。このほか、諏訪市内で低・中温域の温泉廃熱を活用した小型のバイナリー発電の実証実験も行われており、地熱発電についても取組が広がりつつあります。県といたしましては、こうした発電事業に加え、熱交換器やヒートポンプによる温泉熱活用も含め、長野県ゼロカーボン基金などにより事業化を支援してまいります。  また、国におきましては、今年4月に地熱開発加速化プランを策定し、これを受けて、国立公園、国定公園における施設設置要件を緩和したところであり、本県の県立自然公園についても国に準じた取扱いとし、この点からも事業環境の整備を図ったところでございます。  4点目でございます。ゼロカーボンに向けた課題と取組についてのお尋ねでございます。  2050ゼロカーボンの実現には、2030年までの最初の10年間の取組が特に重要であり、交通、建物、産業活動や日常生活などあらゆる分野において徹底的な省エネルギーと再生可能エネルギーの普及拡大を進めていく必要があります。  こうした取組を進める上での最も大きな課題は、全ての県民の皆様に直面する気候危機を知っていただき、脱炭素が当たり前であるという意識を持って実際の行動に移していただくことであると考えております。そのためには、効果的な情報発信に努めることはもちろん、豊かで活力あるゼロカーボン社会のビジョンを実際の成果として可視化し、共有することが重要であり、市町村をはじめとする様々な主体と連携してエネルギー自立地域づくりなど先行モデルの創出を進めてまいる所存でございます。       〔林務部長井出英治君登壇〕 ◎林務部長(井出英治 君)私には、県内の木質バイオマス発電の現状と課題、これからの展開についてお尋ねをいただきました。  木質バイオマス発電は、環境負荷の少ない循環型社会を形成するための再生可能エネルギーとして本県でも導入が進んでおり、現在、長野市、安曇野市、東御市、塩尻市の4か所で発電所が稼働しています。  発電に利用される燃料材は、建築用丸太の生産に付随して出てくる曲がり材や枝、葉などが主であり、供給量は建築用材の生産量に左右されています。特に、近年は建築用材の需給動向の変化が激しいため、燃料材の調達が県内の発電所にとって大きな課題となっています。  県としては、まず現在稼働している4か所の発電所への安定的な燃料材の供給のため、間伐から主伐、再造林への転換や枝葉等の低質材の活用などにより素材生産量全体のさらなる底上げを図り、木質バイオマスの普及につなげてまいります。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、農業分野におけるバイオマス発電への支援について御質問をいただきました。  農業分野におけるバイオマス発電事業に対しましては、企業の関心も高く、県内においても、キノコ栽培の際に発生する利用済み培地をメタン発酵させた発電や、木質バイオマス発電の熱や二酸化炭素を施設栽培で利用する取組が行われております。  県では、こうしたバイオマス発電事業の計画策定や施設整備に係る経費について国の補助事業や県の自然エネルギー地域発電推進事業により支援を行うとともに、廃棄物としての取扱いや周辺環境への対応などについて助言を行っているところです。  農業分野でのバイオマス発電は有効な取組の一つとして考えており、今後も補助事業による支援や必要な情報提供を行ってまいります。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)2点御質問をいただきました。  まず、電気自動車等への移行による県内企業に対する支援についてでございます。  本県には自動車関連企業が多く立地しており、例えば、国産自動車メーカー1社のみでも、その関連が約900社、従業員は約4万人に及ぶなど裾野の広い産業となっています。  議員御指摘のように、自動車のEV化は、部品約3万点のうちエンジンなど約1万点が減少するなど、県内企業の経営や雇用にも大きなインパクトが予想されます。コロナ禍にあっても業況は堅調に推移しておりますが、重要なターニングポイントにあることから、世界的に加速するグリーン化等の動きに遅れないよう産学官が総力を挙げて取り組むべきときと受け止めております。  具体的には、コア技術を生かした高性能電池やモーター、ロボットや医療機器等の成長分野への事業展開、環境負荷の少ない材料への転換、製品のライフサイクル全体での脱炭素化、サーキュラーエコノミーへの貢献など県内企業の技術革新等を後押しできるよう、工業技術総合センターに整備した3Dラボや、来年4月にスタートする長野県産業振興機構、NICEが連携して技術開発から販路開拓までを一貫支援してまいります。  次に、ゼロカーボンに向けた航空機産業支援についてでございます。  県内の航空機関連の企業数は、アジアナンバーワン航空宇宙産業クラスター形成特区や航空機産業振興ビジョンの取組等により、本年3月末現在で86社まで増加してきておりますが、現在、コロナ禍によって急減した需要に持ち直しの動きは見られるものの、他方で、航空機へも脱炭素化の要請が高まる中、海外では軽量化、電動化、代替エネルギー化等の開発が加速化しており、エアライン各社も新しい機体の調達を進めるなど、今後サプライチェーンにも変化が予想されます。国においては、加工性に優れた炭素繊維複合材やエンジンの効率化、航空機向け蓄電池等の電動化に関する技術開発を推進しております。  こうした動きを受け、県では、県内企業が需要回復期に向けて新たな技術分野へ挑戦できるよう、昨年11月に航空機産業振興の当面の対応方針を決定し、支援拠点となる工業技術総合センターに試験機器を整備するとともに、エス・バードに配置した専任コーディネーターが技術力や人材力の強化に取り組んでいるところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、ゼロカーボンに関連して、ゼロカーボン社会を担う若い世代の人材育成について御質問を頂戴いたしました。  ゼロカーボン社会を実現していく上では、幅広い県民、事業者の皆様方と協力して、連携して進めていくということが大変重要だと思っております。御質問にありますように、その中でも、特に若い世代の皆さんに一緒に取り組んでもらう、参画してもらうということが大変重要だというふうに考えております。  ゼロカーボンを進めるに当たっていろいろな方々と意見交換をしてきましたけれども、特に若い方たちと話をさせていただくと、非常に問題意識が高い学生、若者が大勢います。大変頼もしく感じると同時に、やはり若い世代の皆様にとっては、この気候変動は非常に切実な課題になっているということを切に感じているところであります。御紹介いただいたCOP26の日本政府によるイベントに私もオンライン参加いたしましたけれども、その際にも、白馬村に対して気候非常事態宣言の発出を求めた高校生の活動を私から紹介させていただいたところでございます。  若い世代をどう活動に巻き込み、あるいは場をつくっていくのかということでありますけれども、幾つか具体的な方向性を考えております。  一つは、まず学校現場、教育現場においてであります。総合的な探究の時間等でいろんな取組が行われていますけれども、ぜひこうした場面でSDGsや気候変動の学びを拡大していってもらいたいと思います。この点については教育委員会において検討してもらいたいと思います。  それから、予算をお願いしておりますサステナブルNAGANO共創プラットフォーム、これは、多様なステークホルダーが集う場として設置していきたいと思いますが、そうした中に若い世代の積極的な参画を促していきたいというふうに考えております。また、来年2月には、国際学生ゼロカーボン会議なるものを予定しております。フィンランド等の海外の若者と長野県の若者が気候変動やサーキュラーエコノミーなどについて意見を交わす場としてゼロカーボン会議を設置し、開催していきたいと思っています。  それから、教育委員会が取り組んでいます海外留学促進のためのつばさプロジェクトでございますが、つばさプロジェクトの一環として高校生を環境先進国に派遣することを検討していきたいと思っています。環境に配慮したまちづくりや循環型経済を海外で学んできてもらえるようにしていきたいというふうに思います。  ゼロカーボンを進めていく上では、今後とも若い世代の皆さんと積極的な連携を図ると同時に、そうした若い世代の皆さんがいろいろ学べる機会を拡充するという視点もしっかり持ちながら取り組んでいきたいというふうに考えています。  以上です。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、動物虐待についての御質問を頂戴しております。  まず、一斉点検の進捗状況でございます。  動物取扱業者への一斉点検につきましては、犬または猫の繁殖業を含む動物販売業のうち、繁殖用の犬であれば1か所で16頭以上飼養している施設など一定規模以上のものを対象としております。本年6月に新たに設けられた基準省令の規定が全面的に適用になりますと従業員が2名以上必要になる施設でございます。対象施設は県内に約90か所ございまして、先月から開始しており、来年3月末までの間に各保健所において計画的に点検を進めてまいります。なお、11月末現在では15施設について点検を終了したところでございます。  次に、検証作業の進め方についてでございますが、10月18日に健康福祉部に4名の検証チームを立ち上げ、当時の公文書の確認や担当職員からの聞き取りを行い、検証を進めてまいりました。11月18日には健康福祉部コンプライアンス委員会を開催し、その検討を経て検証報告書の素案をまとめたところでございます。この素案につきまして、今月中に副知事を委員長とするリスク管理委員会に報告をいたしまして、同委員会において、第三者である外部の有識者からの御意見も伺いながら、検証内容の妥当性についてさらに検討を加える予定でございます。以上のとおり、現在検討作業中でございますけれども、警察等による捜査の状況等も踏まえながら適切な時期に検証報告書として公表してまいります。  それから、事件の受け止めについての御質問でございます。  動物愛護に対する関心は非常に高まっておりまして、動物虐待を未然に防ぐことは非常に重要な課題であると考えております。今回の事案につきましては、多数の動物に対する虐待が行われた事件として県としても重く受け止めており、動物取扱業者に対する適正な監視指導の重要性を改めて認識したところでございます。  長野県動物愛護管理推進計画につきましては、現在見直しを進めておりますが、動物取扱業者への対応を重点施策として位置づけ、事業者が適正に事業を行えるよう十分な助言指導を行うほか、改善の意思がないなど悪質な事業者に対しては法に基づく勧告、命令や刑事告発も含めた厳しい対応を取ることを盛り込む方向で検討を進めております。  今後とも、法の趣旨を踏まえ、動物の適正飼養管理について対応を強化し、再発防止に努めてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)持続可能な地域づくりに向けた公共交通の維持発展について3点お尋ねです。  まず、県内公共交通の現状と課題についての認識です。  公共交通は、通勤通学や通院など県民の日常生活を支え、また、県内外の交流を促進する上で大変重要な社会基盤であります。しかしながら、人口減少などに伴いまして利用者が減少し、これがサービスの低下につながり、さらなる利用者の減少という負の循環に陥っております。多くの事業者は、経営が厳しい中、今般の新型コロナウイルスの影響によりましてさらに大きな打撃を受けております。  業態別に見ますと、バス事業では高速バスや貸切りバスの利用が急激に減少し、これらの収益で路線バスを維持してきた従来の事業構造が限界に来ておりまして、生活路線へしわ寄せが及びつつあります。鉄道事業では、老朽化した車両や施設の維持・更新に要する経費が経営を圧迫しているほか、豪雨災害によります橋梁の被災も相次いだところであります。タクシー事業では、コロナ禍で飲食店の利用が減少していることから、大幅に客足が落ち込んでおります。  これらに加えまして、運転手のなり手不足、高齢化、キャッシュレス決済をはじめとするデジタル化への遅れといった共通の課題も顕在化しており、生活などにおけます安定的な移動手段の確保が危機に直面しているのではないかと認識しております。  次に、10広域ごとに置く部会の概要とスケジュール、それから地域の実情に合わせた再構築をどのように形にしていくかということですけれども、このたび立ち上げました法律に基づきます長野県公共交通活性化協議会におきましては、第1回全体会議を11月16日に開催いたしました。順次地域別部会を設置していくこととしておりますが、地域別部会は、各地域の全市町村、交通事業者、利用者の代表等が構成メンバーとなっておりまして、地域振興局が主催いたします。これまで、地域振興局単位で交通データの収集、検討を行ってまいりました。これを深掘りするため、さきの9月補正予算でお認めいただきましたバス路線ごとの乗降調査等を現在進めているところであります。こういったことを踏まえまして、令和5年3月までに策定予定の地域公共交通計画に各地域の取組も反映させてまいります。  公共交通は、持続可能な地域づくりのために欠かせないものであるとともに、まちづくりや教育、医療とも密接に関連するものであります。10地域それぞれ事情が異なりますことから、関係者が知恵を出し合い、幅広い視野で検討を進めてまいりたいと考えております。  最後に、長野県公共交通の目指す姿と最適なシステムをつくり上げていくための視点というお尋ねであります。  平成25年に策定いたしました長野県新総合交通ビジョンにおきまして、長野県が目指す交通の将来像としまして、県民の日常生活を支えることを基本に、県内各地を快適につなぎ、全国各地、また海外へと広げる姿を描いているところでありまして、この基本は変わっていないものと考えております。  人口減少の本格化に加えまして、コロナ禍が重なりまして、事業者の経営努力に依存していましたこれまでの取組を続けていくのであれば、目指す姿の実現は困難であると考えております。このため、より踏み込んだ形での官民連携による持続可能で最適な地域公共交通システムの構築が必要であると考えておりまして、今般立ち上げました協議会におきましては、単に計画策定にとどまるだけでなく、県、市町村、交通事業者などが一体的に取り組む推進本部としていきたいというふうに考えております。  とりわけ高齢化が著しい本県におきましては、誰もがいずれは自家用車を運転しない、できなくなるときが来るということを念頭に取組を進めていく必要があると考えております。公共交通ネットワークの再構築はもとより、将来を見据えて、デジタル化やゼロカーボンへの対応など様々な視点で検討を進めてまいりますし、国に対しても必要な抜本的な対策を求めてまいりたいと考えております。こういったことを通じて、県民の皆様の確かな暮らしをしっかりと支え続けることができる公共交通をつくっていきたいと考えております。  以上です。       〔17番竹花美幸君登壇〕 ◆17番(竹花美幸 君)御答弁いただきました。御期待申し上げておりますので、引き続きしっかりとお取組願いたいと存じます。  以上をもちまして私の一般質問は終了させていただきます。ありがとう存じました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、共田武史議員。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)長野県の強みと問われたとき、多くの人が、大自然であり、この美しい景観と答えると思います。一方で、この美しい景観や大自然がどのような理由でできたか、なぜこれだけ自然豊かなのか、こういった問いに答えられる方は少ないと思います。長野県のこの強みを理解する上で、私たちの大地がどのように生まれ、そしてその大地から文化、風土、歴史、産業が生まれていること、そういったことをひもづけることがこれからの長野県にとって必要だと思っております。今回の質問は、このロマンあふれる長野県の大地創造の物語をぜひ長野県としてまとめていただいて今後の施策展開に生かしていただきたい、そんな思いを込めて質問させていただきます。  先日、南牧村の平沢峠に行ってきました。この場所は、フォッサマグナの発想の地と言われています。フォッサマグナとは、日本を分断する6,000メーターと深い日本の大きな溝でございます。  野尻湖のナウマンゾウを発見したナウマン博士は日本の地質学の父と言われています。二十歳でドイツから来日し、この平沢峠から南アルプス、富士山を眺め、その絶景から、この地には何かがある、そんな直観からフォッサマグナを発見しました。このフォッサマグナは、世界で唯一の地形であります。  そもそも日本列島は、特殊な地殻の上に成り立っております。北米プレート、太平洋プレート、フィリピン海プレート、そしてユーラシアプレートです。四つのプレートがぶつかり合い、その上に成り立っているため、独特の多彩な地形を有しています。その中で、長野県は、さらに特殊な地形を持っております。先ほど申したフォッサマグナだけでなく、日本中の3,000メーター級の山々は、富士山を除くと、日本アルプス、北アルプス、中央アルプス、南アルプスのみになります。これは全て長野県にあります。なぜこの日本アルプスができたのか。それは、日本列島に伊豆諸島がぶつかり、その力で山が隆起してできたものです。伊豆半島からの力でできた山を見たとき、私たちがふだん目にする風景は意味が違ったものになります。駒ヶ根付近では、左右に3,000メーター級の南アルプス、中央アルプスの谷があります。その風景にはロマンを感じざるを得ません。  また、長野県には二つの構造線があります。世界第一級の中央構造線、そして、長野県を縦に分断する糸魚川静岡構造線です。そして、この構造線の交差点に諏訪があります。そして、この構造線のずれから諏訪湖が生まれました。諏訪の地域を山の上から見たとき、構造線のずれでこの湖が生まれたと思うと、そこにもまたロマンを感じざるを得ません。  まとめますと、日本列島はユーラシア大陸からちぎれ、折れ曲がってフォッサマグナを形成し、そして、その溝を海底火山活動、海の砂、泥が埋め、その後、伊豆諸島がぶつかり、日本アルプスをつくり、そして構造線により多彩な地形をつくっております。地質学者ナウマン博士に一目で何かあると感じさせる風景、そして、日本列島自体が特殊な形にあり、その中でも、長野県はフォッサマグナ、日本アルプス、世界第一級の構造線、多彩な景観を持っており、世界でも珍しいストーリーを持った地質と言えます。そして、この大自然から、信濃の国に歌われているそびゆる山々、肥沃な大地、流るる川があります。そうした恵みを受けていることを改めて感じます。  一方で、地震や火山、土砂崩れ、川の氾濫など天災にも見舞われてきております。今年の茅野市の下馬沢川の土砂災害、平成18年の岡谷市の小田井沢の土砂災害、これは糸魚川静岡構造線沿いにあります。恐らく関係があるものだと思います。  そこで、本県の地形を踏まえた県土強靱化について田下建設部長に伺います。  山地が多い日本の中で、長野県はさらに山地が多い県です。安全性や効率性を考えると、道路や砂防、ダムなどは必要不可欠であると考えます。本県の地形を踏まえ、県土強靱化をどのように進めていくのでしょうか。  また、地形や地質を生かした観光振興について2点、渡辺観光部長に伺います。  ふだん見えている風景が世界でも珍しい地質的な歴史をたどっていることを考えると、今までと違った形に見えてきます。ロマンあふれる大地創造の物語を添えて観光振興を進めていくことは、新しい価値を生むと思います。ジオパークをはじめ、地形や地質、その形成の歴史などを観光資源としてどう捉えているでしょうか。その上で、県内にあるそうした場所をどのように評価しているでしょうか。  来年は、7年に一度の御柱祭です。回を重ねるごとに観客が増え、今ではコントロールが難しいほど人気を博しております。一方で、地元とすれば、7年に一度、この御柱の時期だけではなく、諏訪の地方を訪れていただきたい、小宮や様々な大中小御柱がある際にも観光客に来ていただきたい、そんな思いもあります。  そして、この諏訪大社は、地質と関係があるとも言われています。中央構造線上には、出雲大社、鹿島神宮、高野山など大きな神社仏閣が集中しています。古来、構造線上には大きな地震が発生し、それを抑えるために神社仏閣、山岳信仰が多くあるとも言われています。そのため、御柱を契機に、地質と歴史とともに観光を推進してみてはと考えますが、所見をお伺いします。  続きまして、農産物です。地形特性等を踏まえた農産物の輸出拡大について小林農政部長に伺います。  TPPにより、県内の農業には幾らかの不安があります。ただ、攻める農業として輸出は考えなければなりません。昨年、沖縄県に行った際、国際物流センターを持つ沖縄県とすれば長野県の物産をどのように世界に売っていけばいいかと沖縄県の職員にアドバイスを求めたところ、沖縄県も温暖な気候と美しい海を世界に売りに行ったことがある。でも、返ってきた答えは、世界中、美しい海も温暖な気候もそこらじゅうにある。もっと特徴をつけなければ売れない。そんな話をもらいました。長野県の大自然だけでは世界には通用しないということです。そういう意味で、長野県の大きな大地の歴史、そこから生まれた大自然、その恵みで育った農産品、そういったものを添えながらブランド化していくことには大きな価値があると思います。農産品を海外へ販売する際、長野県の持つ標高差や地形特性に育まれた農産品などは魅力的だと思います。そうした背景をPRし、県産農産品の輸出拡大に取り組んではいかがでしょうか。  続きまして、経済に関する話です。地理的要因から見た県内産業の分析について林産業労働部長に伺います。  長野県のこれからの産業、経済を考えるとき、歴史や地の利を考えることは重要です。私の住む岡谷市は、シルクの町として日本一になった時期があります。それは、内陸にあり、そして乾燥して涼しい気候。1キロのシルクを作るのに1トンの水が必要です。諏訪湖の水、天竜川の水があったために発展しました。そういった地の利があるからこそ産業は振興する部分があります。その後、第二次世界大戦で、疎開工場、軍事工場として長野県の工場全体が利用されました。それが今の製造業のものづくりの基盤になっている部分もあります。  シルク産業は終えんを迎えますが、なぜ終えんを迎えたかも意外と皆さんが知らないところでございます。日本のシルクは、輸出を中国に奪われました。日本人が豊かになるにつれ、着物を買い、シルク産業は国内需要に支えられておりましたが、日本人が着物から洋服に着替えたときにシルク産業は終わりました。その産業が終わる期間はほんの数年だったと聞いています。  これからガソリン自動車から電気自動車に代わる際、物すごいスピードで産業の転換が起こる、こんな不安もあります。歴史から様々な産業の転換を学び、今後の長野県の経済を考える必要があると思います。そういう意味で、歴史を鑑みると、産業は地理的な要因が大きく影響しています。これからの県内産業を考えたとき、こうした分析が必要だと思いますが、いかがでしょうか。
     また、松本空港や沖縄便など、そして、リニア新幹線をはじめ、私たちの町にも計画されている諏訪上田連絡道路、こういった高規格道路も計画されています。地理的な要因に大きな変化があると思いますが、可能性をどのように考えているでしょうか。  最後に、地理的要因、歴史的要因を踏まえた政策の推進について阿部知事に伺います。  国際社会では、地政学という言葉をよく聞くようになりました。地理的要因、歴史的要因は、県民の暮らし、県内経済に大きく影響していることを踏まえ、総合的に政策推進に取り組む必要があると思いますが、所見を伺います。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)本県の地形を踏まえた県土強靱化の進め方についてのお尋ねでございます。  本県は、美しい山岳景観を有する反面、急峻な地形や脆弱な地質などの自然条件から、途絶しやすい道路、崩れやすい斜面、急流で短時間に水位上昇する河川など、本県特有の環境下に置かれております。このことを県民の皆さんに理解していただきながら県土強靱化を進めていくことが必要と認識しているところでございます。  このため、従来から、県民の皆さんに本県の地形特性や防災に関する理解を深めていただくため、地域における防災教育等を実施するとともに、事業実施に当たりましては、脆弱な地質などの自然条件や防災上の観点からの必要性を住民に十分説明し、安全で安心して暮らせる県土づくりのための社会資本整備を推進してきたところでございます。  今後も、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の予算を最大限活用し、本県の地形を考慮した上で災害に強い道路ネットワークの構築、流域治水の考えに基づく河川整備や土砂災害対策、道路や河川・砂防施設等の老朽化対策などを推進し、県土強靱化の取組を着実に進めてまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には二つの御質問を頂戴しております。  1点目でございますが、地形、地質などの観光資源としての捉え方とこうした県内の資源の評価でございます。  まず、観光資源をどう捉えているかというところでございますが、大地の成り立ちの痕跡である地層や地形は、壮大な地球の長い営みに思いをはせ、知的好奇心をかき立てる重要な観光資源と捉えております。  近年、地形や地質からその町の歴史や暮らしに迫るテレビ番組の人気が高まるとともに、千葉県市原市の地磁気逆転期の地層の重要性が国際学会で認められ、チバニアンと命名される中、希少な地層を見ようと多くの方が訪れるなど、興味を持つ人が増えているところでございます。  また、県内資源をどう評価しているかというところでございますが、中央構造線と糸魚川静岡構造線が交差し、広い県土を有する本県は、地球の歴史が刻まれた起伏に富む地形や多種多様な地質の宝庫とも言われております。大地のダイナミズムに触れることができる本県特有の地形や地質は、優れた観光資源であるのみならず、こうした地形や地質が育んだ豊かな自然、多くの人が行き交う谷が街道となって生まれた歴史文化などと組み合わせることにより、長野県観光の魅力を高めるものと考えております。  2点目でございますが、地形、地質を生かした観光の推進でございます。  県では、令和元年度に上伊那・南信州地域振興局が連携して南アルプス中央構造線を巡るモニターツアーを実施いたしました。伊那市や大鹿村の地形、地質の露頭など壮大な様相を体感し、学ぶこのツアーには、中京圏から21名の参加者があり、現地の迫力に圧倒され、改めて訪問したい、県内のほかの地域にも行ってみたいなどの声もございました。  諏訪湖周辺の地形に関しましては、星ヶ塔黒曜石原産地遺跡がテレビ番組をきっかけに注目を集めているところでございます。今後、諏訪大社御柱祭など来年の大型催事と併せ、市町村や観光協会と連携して、本県ならではの学びの観光素材として、商談会等を通じ、旅行会社に売り込んでまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、地形特性を踏まえた農産物の輸出拡大について御質問をいただきました。  本県農業の特徴は、標高が高く昼夜の寒暖差が大きいこと、盆地が広がり日照時間が長いことなどの地形特性を生かした栽培により高品質な果物などの産地形成が図られてきたところであり、ブドウ、リンゴなどの輸出においてもこれらの特徴をPRすることは大切なことと考えております。  これまで、県では、農産物の輸出に当たり、海外バイヤーを産地に招聘し、高い山々に囲まれた自然条件の中で農産物が栽培されていることを肌で感じていただき、その魅力を知っていただくことで県産農産物の輸出促進につなげてきたところです。  また、現在は渡航や招聘が困難なことから、今後は、県産農産物のおいしさを育んでいる本県の地形特性などを効果的に伝えるデジタルリーフレットを作成し、海外バイヤーとのウェブ会議で活用するなどの新たな取組を展開し、県産農産物の輸出拡大を推進してまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)県内産業の地理的分析と交通網整備による県内産業の可能性についてのお尋ねでございます。  本県産業は、かつて隆盛を極めたシルク産業製糸技術を生かし、内陸にあっても高い付加価値が創出できるよう精密加工や電子・情報機器等の分野に展開し、国内外で高いシェアを誇る製品を生み出すなど、製造業が牽引役となり、経済的な発展を遂げてきております。  他方、本県の豊かな自然や冷涼な気候を生かし、多彩な農林産物が生産されており、みそ、酒、ワイン等の6次産業や、リゾート地や温泉等をベースとする観光産業も盛んです。  議員御指摘のリニア中央新幹線や中部横断自動車道等の交通網整備は、人や物の行き来をさらに容易にすることから、交流増加による新たなビジネス創出が期待されます。例えば、地域の伝統文化や世界水準の山岳高原を生かした体験型観光、クリエーティブ人材やIT人材の誘致、企業のデジタル部門や研究開発拠点等の立地促進などにもつなげられると考えております。  さらに、こうした新たな国土軸がもたらす経済効果を広く県内へと波及させることが重要ですので、商工農林関係部局はもとより、交通建設担当部局等とも連携して産業政策に取り組んでまいります。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)地理的要因、歴史的要因を踏まえた政策の推進についての考え方という御質問を頂戴いたしました。  御質問をるるお伺いいたしましたが、非常に重要な御指摘だというふうに思います。私も、県知事の仕事をさせていただく中で、47都道府県ありますけれども、長野県の強みは何か、長野県の特色は何か、そしてそれをどう生かしていくかということを常に考え続けてきております。今、各部長からそれぞれの分野ごとに御答弁いたしましたけれども、様々な施策を進めるに当たり、長野県の地理的特性や歴史というものをしっかり踏まえて政策化していくことが、まさにほかの都道府県にはない特色を出し、ほかの都道府県にはない強力な政策を打ち出すきっかけになるものというふうに思っております。  幾つかの分野で申し上げれば、例えば、信州ワインバレー構想を進めております。ワインは、御承知のとおり、それぞれの地域に応じた特色あるワインができるということで、まさにこれは長野県内のそれぞれの地域の個性がワインの味わいにも表れてくるものであります。これは、日本酒も同じように、それぞれの地域の米や水、そうしたものが味わいに反映されるわけでありますので、まさに農業、日本酒、ワイン、こうしたものはその地域、土地とは切っても切り離せない関係にあります。  また、観光についても、先ほど観光部長から答弁申し上げたように、南信州地域振興局では、今お話があった中央構造線を巡るモニターツアーを企画して地理的特性を観光に生かすと同時に、そうした学びを通じて訪れる方々の知的好奇心を満たす観光振興ということにも取り組んでいます。学びの観光というものはこれからもっと広げていく余地があるのではないかというふうに思います。  また、長野県は海なし県であります。沿岸部に立地している都道府県は、コンビナートがあり、基本的には重厚長大産業が基幹産業として地域経済を牽引してきている都道府県が多いわけでありますけれども、長野県は内陸型でございますので、重厚長大ではなく、むしろ精密や電子など、そちらのほうに強みを発揮してきていると。これはまさに地理的な特性が産業に現れているというふうに思っています。  これまで、長野県は、まさにこうした地理的特性を踏まえて発展してきております。御指摘のとおり、これからの未来を考えるに当たって、長野県の特性は何かということを意識せずに、例えば海がある県と同じようなことを考えると、進むべき方向性を間違えてしまうことになりかねないというふうに思っています。産業分野であればITバレー構想のような政策をしっかり進めていきたいというふうに思いますし、また、御指摘のあった防災面、国土強靱化という観点でも、やはりそれぞれの地域の地理的特性を十分踏まえながら災害対応を行っていくということが重要だと思います。  今、建設部の砂防課と県立歴史館とで災害伝承事業を行っています。これは、単に今の災害をどうしようということではなくて、歴史に学ぼうという取組も行っていますので、少しずつではありますけれども、共田議員御指摘のような取組が始まっています。今後、さらにこうしたものが広がるように意識して取り組んでいきたいというふうに思います。折しも、次期総合5か年計画策定に入っていきますので、地理的特性あるいは歴史文化が育んできた長野県の強み、こうしたものをどう生かすかという観点で、次期総合計画についても検討を行っていきたいと考えております。  以上です。       〔20番共田武史君登壇〕 ◆20番(共田武史 君)大変前向きな答弁をいただいたと思っております。  私自身、この質問を作るのに幾つもの書物を読みました。突き合わせるのがかなり大変で、そして、こうしたものを調べれば調べるほど、長野県は特殊な地形を持っているということを感じました。一方で、こうした特徴を持っていることを長野県民はなかなか知らないことも感じました。また、その学ぶ資料がないことも分かります。そういった意味で、長野県として、ロマンあふれる大地創造の物語、歴史というものをつくっていただき、そして、県民が自分たちの土地はこういった歴史があるんだ、その歴史の下、私たちの文化、歴史、小さな行事、地名までそういったものから影響を受けているということを知らなければいけないと思っております。  そんな意味で、今後総合計画をつくる際に反映させていただけるというお話だったので、期待しながら一般質問を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)次に、加藤康治議員。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)初めに、コロナウイルス感染症への対応について伺います。  新型コロナの新規陽性者数は全国的にも減少傾向となっており、昨年の夏以降で最も低い水準が続いています。療養者数や重症者数も減少が続いており、落ち着いた状況となっていますが、新たな変異株や第6波への備え等の感染防止対策を十分に行う必要があります。その上で、社会経済活動の活性化をも促していくことも必要です。  そこで、何点か伺います。  まず、本県でも3回目の追加接種が始まりました。円滑な接種となるようお取組をお願いするところですが、一方で、本格的な冬の時期を迎えるに当たり、季節性インフルエンザとの同時流行が心配されます。新型コロナとインフルエンザは、発熱やだるさ等症状が似ているため、見分けが困難な場合もあります。そこで、季節性インフルエンザの流行の状況や今後の見通しについて伺うとともに、新型コロナとの同時流行への体制整備が必要と考えますが、その対策について健康福祉部長に伺います。  先月19日に開催された政府の新型コロナ対策本部において、緊急事態措置区域等においても、ワクチン接種や検査の陰性証明を活用したワクチン・検査パッケージ制度等により、感染拡大を防止しながら、飲食やイベント、県をまたぐ移動等、日常生活や社会経済活動を継続できるよう取り組むことが決定されました。  具体的には、本県では、「信州の安心なお店」認証店のうち、ワクチン・検査パッケージ制度を適用する事業者は都道府県に登録するとともに、利用者に対しワクチン接種歴または陰性の検査結果のいずれかを選択して提示するよう求めること。その確認方法については、事業者は予防接種済証や医療機関等が発行したPCR検査の結果通知書等により確認するか、事業者等が設置した場所で検査キットを用いて抗原定性検査を実施することも可能となっています。  そこで、ワクチン・検査パッケージ制度を利用する事業者の登録に向けた準備状況について伺うとともに、感染拡大時の制度の活用について県民への周知をしっかり行っていくべきと考えるが、いかがか。産業労働部長に伺います。  また、陰性証明については有効期間が短いため、繁華街やイベント会場等に検査所を開設する等の取組を行うことが必要と考えますが、健康福祉部長に御所見を伺います。  先月19日、国から今後の観光需要喚起策の考え方等が示されました。このうち、Go Toトラベルについては、今後の感染状況等を踏まえつつ、年明け以降の適切なタイミングで県民割の支援対象を近隣圏域へ拡大し、その後、年末年始の感染状況等を改めて確認することを前提に、全国規模でのGo To トラベルの再開も念頭に準備を進めていくこととするとされており、再開に向けて県としてもしっかり準備をしていく必要があります。当面はインバウンドによる観光需要が見込めないため、国内の観光客がターゲットとなりますが、事業が始まると全国各地で観光客の奪い合いになることが想定され、いかに長野県内に観光客を引き込むかが重要となります。事業が始まってからの対応では遅れを取ることになります。  そこで、Go To トラベル再開に向け、県外からの誘客を加速するためのこれまでの準備状況や事業再開に向けての戦略はどうなっているか。加えて、県内にも様々な観光資源がある中で、地域の特性を十分に生かしながら広域で周遊できるような取組も重要と考えますが、観光部長に御所見を伺います。  次に、デジタル化の推進について伺います。  今回の新型コロナへの対応で、国や自治体のデジタル化の遅れや人材不足、煩雑な手続や給付の遅れによる住民サービスの低下等、デジタル化について課題が明らかになりましたが、これらを解決するため、様々な取組が行われています。  デジタル社会の基盤となるマイナンバーカードの普及に向けては、今回決定された政府の新たな経済対策において、マイナンバーカードの普及促進とともに、消費喚起や生活の質の向上につなげるため、マイナンバーカードを活用して幅広いサービスや商品などに利用できるマイナポイント事業が盛り込まれています。マイナンバーカードの全国の普及率は先月16日時点で39.5%であり、政府は2022年度末までにほぼ全ての国民が取得することを目指していますが、本県においては普及が進んでいない状況があります。  そこで、県内におけるマイナンバーカード普及状況の現状と分析、普及に向けた県としての取組状況について伺います。  マイナンバーカード普及のため、自治体が子育て支援や地域振興などにカードを活用してキャッシュレス決済で使えるポイントを付与する自治体マイナポイント事業が全国各地で行われています。例えば、県内では、立科町で町内のお店での買物によるポイントを還元する事業を行うことにしています。また、他県を見ると、徳島県では生涯学習の講座の受講によるポイントや消防団活動、健康づくりの応援ポイントを受け取れる事業を行っています。そこで、本県においても独自のマイナポイント事業を活用するなど、マイナンバーカードのより一層の普及に取り組むべきと考えるが、いかがか。以上を企画振興部長に伺います。  デジタル人材の不足が課題とされる一方で、新型コロナの感染拡大により女性の雇用状況の悪化が深刻な状況です。このような背景を受け、本年6月、政府が決定した女性活躍・男女共同参画の重点方針で、女性のデジタル人材育成の推進が盛り込まれました。具体的には、女性のデジタル機能の学び直しや、再就職、転職への支援等を行うとしています。デジタル分野の職業は、パソコンと向き合う時間が長いため、肉体労働はほとんどなく、勤務場所の制約も少ないことから、女性にとって比較的働きやすい職種でもあり、一層の施策の推進をすべきと考えます。  県内においても、塩尻市でテレワークによる独り親向けの就労支援に取り組んでおり、子育て中や障害をお持ちの方等が働いています。約9割が女性で、その半数は子育て中の母親です。この6年間で働く人は約8倍に増加するなど、年々拡大しています。また、GIGAスクール構想により、小中学校に導入されたタブレット端末の操作方法や、授業、教員のサポートも担うなど、塩尻市が行う授業の支え手にもなっています。また、少子化対策や女性活躍、地方回帰等の観点での環境整備という面でも女性のデジタル人材育成は重要と考えます。  そこで、デジタル人材不足の解消と女性の雇用状況の改善につなげるとともに、本県が女性の子育てと仕事の両立の先進県となるため、女性をデジタル人材として育成し、テレワーク就労や起業に結びつける取組を加速すべきと考えるが、いかがか。産業労働部長に伺います。  デジタル化の推進により、自分たちは取り残されてしまうのではないかと不安を抱える高齢者もおられます。今回の新たな経済対策では、誰一人取り残さず、全ての国民がデジタル化のメリットを受けられるよう、デジタル活用に対する不安の解消に向け、デジタル推進委員を全国に展開するなど、情報格差対策の推進が盛り込まれました。  そこで、本県においても、スマートフォンの使い方をはじめ、オンライン行政手続などを丁寧に教える高齢者向けの講習会等について、例えば小学校区単位のような身近な場所で開催すべきと考えますが、企画振興部長に御所見を伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症への対応について御質問をいただいております。  まず、季節性インフルエンザの流行状況や今後の見通しについての御質問でございます。  令和3年9月6日から11月21日までに県内87の定点医療機関から2件の届出がございました。全国的には132件の届出がございまして、昨年同時期の171件よりも少なく、現時点で流行の兆しは見られない状況でございます。ただし、季節性インフルエンザは例年1月頃にピークを迎えることから、予断を持たず、引き続き県内及び全国の発生状況を注視してまいります。  また、新型コロナとの同時流行に備えた体制整備でございます。そのための診療・検査体制につきましては、これまで診療・検査医療機関の指定、外来・検査センターの設置、医療機関等の検査機器購入費用の助成、行政検査を受託できる医療機関や民間検査機関との委託契約の締結など体制の拡充に努めてまいりました。現在、県内の診療・検査医療機関は600を超えておりまして、1日最大1万8,000件の検査が可能となるなど、現時点においては季節性インフルエンザの流行に備えた体制は整っているものと認識しております。  次に、ワクチン・検査パッケージ制度に関しまして、繁華街やイベント会場等への検査所の開設についての御質問でございます。  県では、県民が身近に検査を受けられるよう、県内各地に検査体制を拡充していくことが必要であると考えておりまして、今後、薬局等において抗原定性検査等を実施していただくよう働きかけるなど、体制の整備を図ってまいります。  また、御質問の中でお話がございましたとおり、例えば、ワクチン・検査パッケージ制度を活用する事業者側で抗原定性キットを活用するなど、イベント主催者が会場に検査所を設けたり、繁華街の飲食店等が検査所を設けることも可能でございますので、こうした取組は利用者の利便性向上につながるものと考えております。  ワクチン・検査パッケージ制度につきまして、産業労働部、観光部等と連携をいたしまして、関係団体等に広く周知をするとともに、検査所の設置を自ら行う事業者等には実施方法に関する情報提供など必要な支援を行ってまいります。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)2点御質問をいただきました。  まず、ワクチン・検査パッケージの登録制度と県民への周知等についてでございます。  先月19日に国が公表したワクチン・検査パッケージは、第三者認証を受けた飲食店等が利用者のワクチン接種歴等を確認することで、緊急事態宣言時等において課せられる行動制限の緩和が可能となる仕組みであり、制度の利用に当たっては、事前に都道府県に登録する仕組みとなっております。現在、長野県では感染者数が落ち着いている状況であるため、直ちにワクチン・検査パッケージを活用いただく段階ではありませんけれども、将来の感染拡大時においては感染対策と経済活性化の両立を実現するために重要なものとなりますので、事業者の登録募集に向け準備を講じております。  また、登録要件として必須となる「信州の安心なお店」の認証をさらに進めるとともに、認証店には制度概要を直接紹介するなど丁寧な情報発信に努めるほか、相談窓口による電話での問合せにも対応するなどきめ細かな支援に努めてまいります。また、実際に御利用いただく県民の皆様に対しましては、市町村や経済団体等とも御協力いただきながら必要な情報発信に努めてまいります。  次に、女性のデジタル人材育成とテレワーク就労や起業に結びつける取組についてでございます。  総務省の労働力調査では、令和3年10月現在の女性の非正規雇用者数が2年前の同月と比べ全国で76万人減少するなど、大変厳しい状況にあり、コロナ禍における女性の就労支援は喫緊の課題と受け止めております。  こうした中、県では、民間活用委託訓練のうち、IT分野のコースを昨年度33コースから本年度51コースへと拡大し、パソコンの基礎講座のみならず、テレワーク就労にもつながるウェブクリエーターの養成講座などの拡充を図ったところです。さらに、受講者が企業から受注機会を得られる在宅ワーカー育成講座に加え、子育て中の女性の再就職や起業への動機づけとして実施しております「ママのいきいき仕事塾」を今年度は17講座開催する予定であります。  一方、身近な地域や企業における取組も大変重要です。先ほど議員が御紹介された塩尻市のほか、松本市のサザンガクでは子育て真っ最中の女性と企業をつなぐサービスを展開しておりますし、上田市の民間企業「はたらクリエイト」では、現在100名以上の方が子育てと両立しながらウェブコンテンツ制作などを請け負い、起業や自立を促すなど、様々な取組が始まっています。  今後とも、労働局など関係機関や市町村、民間企業などとも連携しながら、女性の子育てと仕事の両立を支援してまいります。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)Go To トラベル再開に向けた準備、戦略についてのお尋ねでございます。  Go To トラベル再開に当たっては、来年の大型催事も見据えながら、県内における周遊、滞在を促進するため、旅行商品の造成やプロモーション等を柱に準備を進めているところでございます。  旅行商品の造成については、観光機構と連携し、市町村や観光協会等からいただいた約100件の提案を取りまとめ、首都圏、中京圏、関西圏などの旅行会社と商談会を開催したところでございます。プロモーションにつきましては、来年の大型催事を見据え、感染状況を見ながら、年明け以降に市町村、交通事業者等と連携し、大都市圏等を中心に展開してまいりたいと考えてございます。また、今後予定している近隣県やブロックごとの宿泊割事業において、まずは本県周辺にPRを行いまして、併せて顧客ニーズを把握し、それを生かしてGo To トラベル事業でさらなる誘客を促進してまいりたいと考えております。  県内広域周遊の取組でございますが、昨年策定いたしましたAfterコロナを見据えた観光振興方針に掲げる長期滞在型観光の推進のためにも、広域連携による周遊観光は重要と認識しております。このため、先ほど申し上げました商談会等におきましても広域的なコンテンツを提供するとともに、旅行会社に対しても広域や県内を周遊できるプラン造成を強く要望したところでございます。また、体験や目的のある旅行は周遊・滞在型観光につながることから、今後、ネット検索、SNS、雑誌等を活用しまして、ターゲットに応じた情報発信や統一したコンテンツの提供にも力を入れてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)デジタル化の推進について3点お尋ねです。  まず、県内のマイナンバーカードの普及状況の現状と分析、それから県としての取組状況ということですけれども、本県のマイナンバーカードの交付枚数は、11月1日現在で約70万枚、交付率は33.6%で、残念ながら全国平均を下回っている状況であります。全国的に見ますと東京や大阪の周辺など都市部が比較的高い交付率となっておりまして、本県において普及がなかなか進まない要因としては、例えば、住民の皆さんが身近な市町村役場で行政サービスを受けやすい環境にあること、また、自動車の保有率が高いために運転免許証が公的な身分証明として多く利用されていることなどがあるのではないかと勝手に推測しているところであります。  カードの交付が進んでいる他県、他の自治体におきましては、多くの人が集まります商業施設等に市町村の職員が出張しましてカードの交付申請を受け付ける出張申請受付を積極的に取り入れているという状況でありますので、本県におきましても、これを参考に、今年度取組を加速させているところであります。カード発行の事務は市町村ということでありますので、県内の市町村が出張申請の受付や時間外の交付窓口の設置を行うに当たりましては、例えば、県においては大規模商業施設やイベントの施設管理者等との日程調整やいろいろな手配を行うとか、そこに県職員を派遣するなどの応援、また、その市町村の取組を情報発信するなどの支援をしております。こういったことに引き続き積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次に、本県においても独自のマイナポイント事業を活用するなど、カードのより一層の普及に取り組むべきということであります。  今月末で終了します昨年度の補正予算で行いました現行のマイナポイント事業におきましては、上限5,000円相当のポイントが付与されているところですけれども、事業が始まりました昨年9月から現在に至るまで、県内のカードの交付率は、率とすると僅かかもしれませんけれども、2倍以上に増え、16%が33~34%になったということであります。現在国が検討しております第2弾の事業におきましてはポイントの上限を2万円に拡大する予定と聞いておりまして、先ほどの5,000円の状況を見ますと、マイナンバーカードの普及は、今回の事業を活用することによって相当の効果が期待されるというふうに考えております。このため、まずはカード交付事務を担います市町村と連携しながら、この国の事業についてしっかりと広報して皆さんに活用してもらうということに力を注いでまいりたいと考えております。  いずれにいたしましても、マイナンバーカードのさらなる普及のためには、取得しやすさ、利便性を高めるということが重要であると考えております。国におきましては、例えばコロナワクチンの接種証明との関係、運転免許証との一体化、さらには子育てや介護など31の手続についてカードを用いてオンライン申請を一元化するという動きもございますので、こうした国の動きと呼応しながら、県内の全77市町村が参加いたします先端技術活用推進協議会も活用しながら、手続のオンライン化の取組を支援していく、情報共有するということを通じまして、カードの利便性の向上とさらなる普及を図ってまいりたいと考えております。  最後に、デジタル化に対応できるよう高齢者向けの講習会等を身近な場所で開催すべきということであります。  高齢者向けの講習会につきましては、県と包括連携協定を結んでおりますソフトバンクが長野県長寿社会開発センターと連携し、これまで県内10か所で実施しているところです。また、国の補助事業を活用しまして、携帯電話事業者が全国の営業所などで実施しているもののほか、商工会や様々な法人などが市町村と連携して、身近な場所で現在実施しているところであります。特に、塩尻市におきましては、公民館で講習会を開催するに当たりまして、塩尻市独自の就労の支援の仕組みですけれども、KADOに登録されている子育て中の女性を中心とした働き手を講師として活用するなど、そういった好循環の就労の場もできているところであります。
     県としましては、こうした好事例、効果的な取組を広く紹介いたしますとともに、先ほど申し上げました先端技術活用推進協議会で情報共有するなど、引き続き県内の多くの市町村において、身近な場所で高齢者講習が行われるよう促してまいりたいと考えております。       〔5番加藤康治君登壇〕 ◆5番(加藤康治 君)コロナ禍の状況でも感染防止対策を講じながら経済を回していこうという動きが今後本格化してきます。この2年近く、特に厳しい状況に置かれてきました飲食や観光に関連する皆様にとりましては、Go To トラベル等に期待をされている方も多くいらっしゃいます。オミクロン株の広がりが心配されますけれども、そこはしっかりと対策を取りながら、その上で、深刻な状況を受けた県内経済が活性化できるよう、県としても引き続き推し進めていただくことをお願いしたいと思います。  また、マイナンバーカードにつきましては、昨年様々な給付金の支給がございましたけれども、紙ベースによる申請だったために支給までに時間がかかってしまいました。このカード普及によりまして、国民の皆様へ速やかに給付金をお届けできるようになることが期待されております。情報の漏えい防止や万全な対策を取っていただくこと、また、デジタル化の推進に誰一人取り残されないようにするという観点も踏まえつつ、先ほど部長さんの答弁もございましたけれども、普及に向けてさらなる取組をいただくことをお願いいたしまして、一切の質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時41分休憩          ──────────────────         午後1時開議 ○副議長(清水純子 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  百瀬智之議員。       〔13番百瀬智之君登壇〕 ◆13番(百瀬智之 君)本日は建設部に一括して質問してまいりますので、よろしくお願いいたします。  さて、師走に入りまして、早いもので今年も残り1か月となりました。いまだコロナで日本社会全体が憂き目に遭っておりますが、足元では、コロナに負けまいと、新しい時代を切り開こうと、今年も様々な取組が進められてきたことを耳にいたします。  例えば、若者の活動を見てみると、コロナ禍で苦境に立つ飲食店を応援しようと、工業高校生が店内での換気のタイミングを容易に可視化する機材を開発したり、また、昨年度県内の高校3年生が考案した「清走中」と銘打った活動が、今年は県内各地で開催されたなどと聞いています。後者については、「逃走中」という人気番組を基に、ごみ拾いの要素を組み合わせ、単なるごみ拾いだけでは参加者が集まりにくいものを、ゲーム性を組み合わせたことで、参加者が目の色を変えて楽しみながら環境課題に取り組んだということであります。  こうした話題に触れて思うことは、若者に限らず、何らかのテーマに楽しさややりがいを持って活動している人々のアイデアと行動が町の至るところから湧き上がるような土壌づくりを一層丹念に行う必要があるということで、もちろん失敗などもあるでしょうけれども、それらを上回る発想力や創造性の数々が困難な時代と次の長野県を築いていくものと確信しています。  そこで、今回は、そのような思いの下に、さきの選挙戦で何遍も訴えてきたフレーズをそのままタイトルにさせていただきました。社会経済活動の再興に向けて、切り口は様々あると思いますが、本日は、質問内容を一昨年の6月定例会の私の一般質問に引きつけて、その後についてお尋ねしてまいります。  このときは、信州花フェスタの直後だったことにちなんで、県管理公園における公募設置管理制度、いわゆるPark-PFIの導入や都市緑化の制度設計について質問いたしました。  まず、Park-PFIについては、2017年の都市公園法改正以来、民間活力を生かした公園施設が各地で誕生しています。たかが公園、されど公園。公園は、ウィズコロナの時代を迎えて、屋外であること、自由であることなどを理由に、再び注目が集まっているコンテンツでもあり、町の新たな核となりつつあります。オーソドックスな飲食施設から始まって、公園内に道の駅を造ったり、キャンプ場を併設した宿泊施設を造ったり、ところによっては保育園や社会福祉施設も相当数できていて、公園のストック効果をいかに地域や住民に還元するか、そろそろ我が県でも目に見える形での変化を期待するものであります。  そこでお尋ねしますが、長野県は一昨年から松本平広域公園と若里公園においてサウンディング型市場調査やそれを受けてのトライアルサウンディング、すなわち暫定利用による試験的な活用などを重ねてこられました。経済活動に確かな見通しが立たないこの時期ですから、その在り方には苦慮しておられることと推察いたしますが、ひとまずトライアルサウンディングの期間は今月いっぱいまでとなっています。現段階での実施状況はどのようになっているか、その成果と課題をお示しいただき、まだまだ試験的な取組が必要なのか、あるいはそろそろ候補者決定や設計工事、そして供用開始に至る道筋を示していただけるのか、改めて来年以降のスケジュールはどうなっているのか、以上、建設部長にお尋ねしたいと思います。  続けて、都市緑化の制度設計について、こちらは今年の4月に信州まちなかグリーンインフラ推進計画の公表がありました。とても期待する事業でありまして、計画の趣旨に掲げられた三つのポイントのうち、特に3番目の「新たなコミュニティの創出」には非常に注目しています。といいますのは、緑も生き物ですから、例えば、労力がかかる草木の維持管理が専ら地元町会や特定の団体に言わばしわ寄せのような形で行ってしまうと、せっかくの緑が無機質に見えるものですが、しかし、今回は必ずしもそういうものではないのだということ、すなわち、そのような従来型の地縁組織などと協働し得るような人々の興味関心、趣味嗜好などを軸とした新たなコミュニティーを育み、町の活動に厚みを持たせるきっかけを本計画を通じて実現していかねばならないと考えているからであります。  緑地整備は、確かに行政支援の下で土地所有者が原則的に行うことになるでしょうが、町の一角にぽっかりと空いてしまった空き地などでは、そもそも所有者の土地に対する意欲やノウハウが欠落している事例が多々あります。その場合に、そこを地域の子供たちの遊び場として、あるいは大人たちの新たな集いの場として、その他、マルシェ、都市農園、ストリートフェスティバルといろいろあるでしょうが、そういう利活用を望む住民たちにオープンにしていく働きかけが重要であって、行政や土地所有者が淡々と整備する緑地よりも、そうやって住民たちが主体的に創造した緑地のほうが緑地としての品質が高くなり、アクティビティーも多様になることが明らかになっています。あくまでも公益的な緑地を整備することを条件に盛り込めば、誰かが独占するような私的な緑地になることもありませんから、町なかの緑を増やすという視点とともに、これはまさに県民一人一人のやる気ややりがい、楽しみを喚起する事業なのだという視点を強く打ち出していただきたいと思います。  そこで、まず年内の設置が掲げられておりますグリーンインフラ推進会議(仮称)の進捗を伺った上で、本事業に関しては、行政関係者や専門家、大学の先生だけではない、意欲や興味関心はあるけれども、どちらかというとこれまで素人とされてきた人たちこそが緑のフィールドを通じて自らの居場所と町をつくっていくという住民参加のメッセージが推進会議で共有され、今後の制度設計において明確に反映されるべきと考えますが、いかがか。以上、建設部長の見解を求めます。  そして、最後に、知事御自身におかれましては、この度、全国知事会の脱炭素・地球温暖化対策本部の本部長に就任され、重ねて敬意を表する次第であります。  本計画は、これに先立っての都道府県レベルでは初の発表となりました。日本の地方都市、特に町の心臓部の再生は、これまで経年劣化や様々な外的要因に原因を求めて克服されようとしてきましたが、そこに住み、暮らす人々のハートに火をつけるという点において大きな見逃しがあったのではないかと思っています。本計画を通じて環境課題や社会問題に取り組むとともに、人々の自己犠牲ではなく、自己実現に立脚したパブリックマインドをぜひ引き出していただきたいと思いますが、いかがか。グリーンインフラ推進への意気込みとともに知事の所見を伺います。  この次の展開として、これらのにぎわいやコミュニティーを生かして新たな産業を地域に根づかせる、そういう活動が全国各地で始まっているわけですが、こちらは委員会での議論に回すこととして、残り1年半を切った任期ではありますが、皆様にはお世話になります、よろしくお願いいたしますと申し添えて、今回の一切の質問といたします。ありがとうございます。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、トライアルサウンディングの実施状況についてのお尋ねでございます。  令和元年度以降、松本平広域公園及び若里公園のサウンディング型市場調査を実施しましたが、事業導入前に試行的な営業が必要との事業者からの意見を踏まえまして、同じ2公園を対象に、昨年9月24日から今月末まで、提案事業を試験的に行っていただくトライアルサウンディング調査を実施しております。この調査におきまして、七つの事業者から、キッチンカーの出店をはじめ、オートキャンプや音楽フェス、体験型イベント等の提案を受けまして、コロナ禍で一部中止になったものの、試行的に事業を実施していただいたところでございます。  事業者からは、隣接する文化ホールのイベント開催時には収益性が高いが、平日や真夏、真冬は集客が難しいですとか、広い面積の使用料を考慮すると採算が取れないなど、時期や公園の立地環境等により収益性が大きく変動することが参入の障壁となるという御意見をいただき、公園の利活用方針決定に当たって大変意義のある調査となったと考えております。  次に、Park-PFI導入に向けたスケジュールについてのお尋ねでございます。  これまでのトライアルサウンディング調査結果や公園の立地条件、収益性を踏まえますと、公園施設の整備を伴うPark-PFIを直ちに導入することは慎重にならざるを得ないと考えます。そこで、今年度は、Park-PFIによらずとも、民間活力を生かし、住民が足を運びたくなる公園を目指し、収益に応じた使用料徴収の可能性や、集客が期待できるマルシェの定期開催など、公園の利活用をさらに促す仕組みづくりの検討を行っております。今後は、これまでの調査結果とにぎわいの仕組みづくりの検討結果を踏まえ、指定管理者との連携も視野に入れた松本平広域公園及び若里公園の活用方法を決定してまいりたいと考えております。  県としましては、民間活力の導入により、公園等の公共空間を、お子さんをはじめ、県民の皆さんが楽しめ、親しまれる場とするとともに、地域のにぎわい施設として利活用されるよう取り組んでまいります。  次に、グリーンインフラ推進会議の設置についてのお尋ねでございます。  県では、町なかの緑が減少する中、2050ゼロカーボンの実現や災害に強いまちづくりなど持続可能で魅力ある県土づくりを進めるため、全国の都道府県に先駆け、信州まちなかグリーンインフラ推進計画を策定いたしまして、この4月に公表したところでございます。本計画では、県と人口規模の大きい4市によるまちなかグリーンインフラ推進会議、仮称でございますが、この会議を設置することとしておりまして、いまだ認知度の低いグリーンインフラの周知方法や導入箇所の選定、新たな維持管理体制の構築など、具体の取組を検討するとともに、まずは4市との連携を密にすることによりまして、町なかへのグリーンインフラの導入を加速させてまいります。  推進会議の設置に向けては、10月から4市を個別に訪問し、各市におけるグリーンインフラ導入の候補箇所や導入に際しての課題、推進会議での検討事項等について意見交換を行い、年明け早々には推進会議を発足することとしております。  最後に、地域住民が主体となって緑の創造に携わることについてのお尋ねでございます。  街路樹や緑地等のグリーンインフラは、良好な都市環境の形成やにぎわいの創出など、潤いのある都市をつくる上で欠かせないものでございます。しかし、グリーンインフラの重要性が十分浸透していないことから、その多様な効果とメリット等を広く周知することで、街路樹や緑地等のグリーンインフラが地域の大切な資産であるという認識を持っていただき、その上で、地域住民の皆様が主体となって緑を創出、活用、そして保全していくことが重要と考えております。アダプトシステムをはじめとして、これまでも多くの県民の皆さんと一緒になって緑の保全に取り組んでまいりましたが、これまで以上に地域住民の皆さんが主体となって緑の創造に携われるよう、その制度設計について今後設置するまちなかグリーンインフラ推進会議において検討してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、信州まちなかグリーンインフラ推進計画に関連して、新たなコミュニティーの創出について、そしてグリーンインフラ推進への意気込みについて御質問いただきました。  本県は、非常に自然環境に恵まれ、緑豊かな県であります。しかしながら、その一方で、町の中の緑は残念ながら必ずしも多い県ではないというふうに思っております。かつて、私は、横浜市で副市長をしていたときに、横浜みどり税という税金で緑化を推進しましたけれども、長野県の都市部は、横浜市のような大都市に比べても緑化率が低い都市が存在しております。そういう意味で、本県は町の魅力をまだまだ十分生かし切れていないところが多いというふうに感じています。  そうしたことから、本県では、全国の都道府県に先駆けて、信州まちなかグリーンインフラ推進計画を今年の4月に策定いたしました。それを踏まえて、この7月には、四つの市と私どもと一緒に信州まちなかみどり宣言を行わせていただき、市町村と県とで連携して持続可能な社会の構築、そして町なかの魅力醸成を目指した取り組みを進めていこうという決意表明を行わせていただいたところであります。  コミュニティーとの関連で申し上げれば、町なかに快適な空間をつくっていくということを通じて、多くの方々を引きつけられる魅力ある地域をつくることでコミュニティーを活性化していくことができますし、また、緑化や緑の維持管理といった活動に多くの皆様方が参加し、会議をしていただくことによって、それ自体コミュニティーの核となっていくことが可能だというふうに考えております。グリーンインフラは、自然が持つ多様な機能を活用することで、気候変動の緩和や防災・減災等の地球環境問題への処方箋となる一方で、町なかに人や投資を呼び込み、コミュニティーやにぎわいを取り戻すといった町をよみがえらせる効果にも大いに期待しているところでございます。  今後、グリーンインフラの価値や効果を県民の皆様方と幅広く共有していきたいと思いますし、また、その上で、県、市町村、そして事業者や県民の皆様方による緑化の推進、また、我々行政としては、街路樹の整備、こうしたものを進めていきたいというふうに思います。また、そうした緑を地域でどう活用し、守っていくか、そうした新たな仕組みについても関係の皆様方と一緒に考えていきたいというふうに思っております。まちづくりの主体は市町村でございますので、市町村の皆様方と十分協力をしながら、多くの県民の皆様方、事業者の皆様方を巻き込みながら、信州らしい持続可能で潤いのあるまちづくりが推進できるよう全力で取り組んでいきたいと考えております。  以上です。 ○副議長(清水純子 君)次に、大畑俊隆議員。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)自由民主党県議団、大畑俊隆でございます。それでは、通告書に従いまして一括質問をいたします。  まず、大きな項目の1として、私自身、スキー場の経営に携わってきた経験も踏まえて、長野県のスキーリゾートの形成について質問をいたします。  長野県のスキー場における昨年コロナ禍における延べ利用者人数は370万人、コロナ前の令和元年は550万人と、その増減はマイナス33%で、180万人の減少でありました。長野県には現在84か所のスキー場があり、昨シーズン営業したスキー場は78か所でありました。ここ数年、コロナ前まではインバウンドの受入れが進んでいた白馬村、野沢温泉村を中心に、国内需要の加速的な落ち込みをインバウンドがカバーし、各スキー場でも新たな需要喚起策としてインバウンドに比重を置き、その受入れ体制強化の必要性が求められてきたことは、スキー場経営者にとって大きな転換期となってきています。また、スキー場が、今も冬期間の観光において、地域の雇用の創出、経済波及効果として地域経済の支えとなっていることは大きいものがあります。  長野県における84か所の索道事業者の課題として、まず小規模事業者が多数存在し、経営資本が乏しく、単独の経営は非常に厳しい状態になってきています。スキー産業への大手資本の参入も中国資本に押され、なかなかスキー産業を支えていく資本が集まらないのが実態であります。また、団体客が大挙して押し寄せたバブル期の成功体験から脱却できず、旧態依然の経営スタイルを今も取っている事業者が多いことも課題となっています。  そして、昭和から平成のバブル期に建てられた索道は、既に30年以上がたち、中には50年以上経過したスキー場も存在しています。近年の雪不足に対応した降雪施設の更新及びリニューアルについて対応できていないスキー場が、一部地域を除いて非常に多い実情があります。  全国的に見て、スキー場事業者は、事業者の約4分の1が1億以上の借入れを行っており、過大な借入金の存在により経営が圧迫され、新たな投資ができない状況にあります。脆弱な資本による大規模な施設を抱えたスキー場経営は、シーズンごとの降雪の多寡によりリスキーな経営を強いられ、また、アクセスに難がありインバウンドの客が敬遠する位置にあるスキー場は、生き残りをかけて毎シーズンの経営をしています。  よって、インバウンドの受入れがかなうまでの間、各スキー場は国内利用者の増加を積極的に打ち出していかなければならない中、昨年県が行った2月19日からの県民限定のリフト券半額キャンペーンは、3月以降の利用者の増加に寄与しました。今シーズンも、長野県は、コロナ禍におけるスキーシーズンを前に、冬を満喫するお得なキャンペーンとして「スキー1日リフト券・冬のアクティビティ半額」キャンペーンを打ち出し、また、「家族で一緒に1日リフト券が半額」キャンペーンで家族5名分を2回、それぞれ予約サイトで購入するといった事業を展開することになりました。このコロナ禍において、各スキー場のリフト券及びアクティビティー券が半額になり誘客に即効果が現れるようなこの事業については、大いに評価できるものがあります。  また、コロナ対策として、昨年従業員のクラスターが発生してしまった経験から、今年度は、事前にスキー場従業員の新型コロナウイルス感染症対策検査への経費支援ということで、1人当たり6,000円の補助額を支援することになるこの事業についても、安心、安全なスキー場のイメージアップにも大いに効果の上がる支援策と考えます。  そこで、1、リフト券に関わる本事業について、昨年の実績をどのように踏まえて事業化したのか、また、事業効果をどのように想定しているのか、伺います。  2として、県内77スキー場の施設の従業員がコロナ対策の検査対象になるかと考えますが、この事業はスキー場の任意によるものなのか、また、従業員の検査拒否についてはどのように対応していくのか、伺います。  3として、地方活性化につながるとしている観光支援事業、Go To トラベルについて、1月からの再開も予想される中、高級宿にばかり需要が集中し、低額で泊まれる宿が事業の恩恵にあずかれなかった昨年度の反省を生かし、幅広い宿泊業への対応を考慮した事業になるとされているが、今回想定される事業効果をどのように見込んでいるのか。また、利用客のコロナ対策及び予約、決済のキャッシュレス化やホームページ等からの予約申込みなどデジタル対応についていけない小規模の宿泊事業者の方々の課題解決についてはどのような支援を講じていくのか、伺います。  4として、インバウンド需要が今シーズンも望めない状況でありますが、コロナ禍の行動変容によるスキー客の誘客など、スノーリゾートの活性化の方向性をどのように考えているのか、伺います。  次に、中小のスキー場の今後についての在り方と長野県が目指す世界水準のスノーリゾートの形成についてであります。  長野県がコロナ禍を踏まえながら目指す世界水準のスノーリゾートは、恐らくその規模や施設への投資の実態を考えると、白馬、野沢エリアを中心に展開を図っていくものと考えられます。しかしながら、長野県には84か所のスキー場があり、その経営形態はまちまちであります。  まず、長野県において、一つの例として、中小規模のスキー場が多い諏訪、伊那路、木曽路エリアにおける中小のスキー場の存続について質問いたしますが、長野新幹線の沿線が遠く、インバウンド受入れにはセントレア空港を持つ名古屋圏からの誘客を望まなければならず、時間的な制約が強いられるエリアであります。このエリアには中小のスキー場が散在し、長野県全体の延べ利用者数の構成比は13.3%の約55万人となっています。また、リニア開通後の誘客も望まれることから、将来的にもエリアとしての吸引力はまだまだ伸び代があります。  そこで、この広域的なエリアにある諏訪、伊那路、木曽路の中小のスキー場索道事業者は、資本統合だけでなく、索道事業者、宿泊事業者、行政等の各地域の関係者から組織されたDMOが中心となって連携し、おのおの役割を定めたアクションプランを作成し、今後のスキー場のビジョンを打ち出し、そのプログラムに沿って着実に成果を上げていくべきときと考えるが、いかがか。また、今後、このエリアにある行政機関、DMO等がどのように冬期間の観光をエリア内の中小スキー場と連携し、国内観光需要の喚起を図るべきか。そして、コロナ後のインバウンドの受入れをどのように行っていくのか。以上5点について渡辺観光部長に見解を伺います。  長野県が世界水準のスノーリゾートとして世界から認知してもらうためには、まず施設の充実及び安全、安心を担保するための索道の更新、そして、今後の異常気象による温暖化に対応するための降雪施設の更新等があります。現在、白馬村、野沢温泉村では積極的な投資が行われてきています。この投資については、民間事業者の経営手腕に委ねられるべきではありますが、かなり多額であり、今後施設更新がその経営を圧迫していくことが予想されます。  よって、スキー長野を標榜し、より安全、安心な施設を提供していく中、全国約550か所のスキー場のうち15%の84か所のスキー場を有する長野県とすれば、北京オリンピック・パラリンピック後のアジア圏からのインバウンドの受入れのためにも、スキー場の索道施設及び降雪施設の更新は必要不可欠と考えます。  そこで、国内の利用者はもちろん、インバウンド観光客に安心、安全を楽しんでもらうためには、脆弱な経営体質であるスキー場が索道施設を更新し、かつ、高性能な降雪施設を導入するための支援策を国に強く要望してほしいと考えますが、知事の見解を伺います。  2022年2月4日、北京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催される予定であります。今後のアジアの台頭に伴う国民所得の向上から、雪のない中国南部、東南アジア等の富裕層は確実に日本にスキーレジャーを求めてくることが想定されています。コロナ前までのオーストラリアからのスキー客は、日本の、特に長野県の良質な雪質をユーチューブ等で数多く投稿してくれています。  そこで、コロナ後のアジアという大きな市場を相手に、長野県の冬の観光のすばらしさを訴求し、スキー場プラス観光地巡りを含めた誘客のための戦略が非常に重要になってくるものと考えます。  また、温暖化対策として、外気温に依存することなく、氷が凍結していない状態でも人工雪を作ることができるSnow4Ever200を発表したイタリア南チロルに拠点を置くデマクレンコの降雪システムや、スノーリゾートの先進地であるスイスのツェルマット、アメリカのベイル、そして2022年の冬季五輪開催地である中国最大のスキー場でマレーシアの大手リゾート開発業者が総工費5,200億円で開発したシークレットガーデンなど、デジタル化が進んだ世界水準のスキーリゾートなどについてもさらなる研究が必要となってきています。  国際競争力の高いスノーリゾートを形成するためには、やはり観光庁、地方自治体、金融機関、政策金融機関、地域経済活性化支援機構が本気になって日本のスキービジネスを考えるべきときでありますが、地域関係者のコンセンサスの形成やスキー事業者の経営統合というハードルの高い問題があります。スキー場施設の老朽化は顕著である一方、インバウンド市場の変化と競争相手国の動きは早く、国際競争力の高いスノーリゾート形成のために残された時間は多くないのであります。  そこで、デジタル技術を導入した施設づくりなど先進的な取組を各スキー場が取り組まなければならない中で、県として県内スキー場産業の取組をどのように支援していくのか、また、アジアのマーケットを視野に入れた長野県が目指す国際競争力の高いスノーリゾートの形成について今後どのような展開を図っていくのか、渡辺観光部長に見解をお伺いします。  続いて、来年度予算について質問をいたします。  令和4年度の当初予算の編成方針が出されました。このコロナ禍で様々な対策が講じられ、県民は、経済対策、新型コロナウイルス感染症対策に対して県の施策運営に一定の評価をされてきています。また、県財政の健全性は損なわれることなく、国からの交付金を最大限に活用して当初予算を確保できる見通しであるとしています。しかしながら、令和3年度の当初予算では基金127億円を取り崩すといった厳しい財政運営を余儀なくされ、また、令和4年度の当初予算については歳入歳出の収支差が145億円を超えると試算されています。これについては、予算編成の過程において事業の見直しや歳入確保によって対応するとしています。  そこで、1として、145億円の収支差について、具体的に145億円もの圧縮が考えられるのか、また、事業の見直しは何を基準に見直しを図っていくのか、お伺いします。  2として、歳入はコロナ禍での見通しとして適切なものと言えるのか。また、経済対策に資する支出は抑えるべきではないため、支出削減ではなく財源の確保を優先すべきと考えますが、いかがか。  3として、コロナ禍で不要不急として実施を見送った事業がありましたが、経済対策に資するものは復活して実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。以上3点について玉井総務部長に伺います。  日本の長期債務残高は、国と地方を合わせて1,000兆を超え、国内総生産、GDPの2.2倍になります。平成が始まる頃、1988年の世界GDPに占める比重は16%でありました。それは、まさに敗戦後の復興、成長を見た工業生産力モデルの優等生として日本の到達点でありました。それが、30年後の2018年の世界のGDPに占める日本の比重は6%にまで下落しました。そして、2050年のそれは1.5%まで下落すると予想されています。東南アジア諸国がますます台頭していく中、日本の将来は暗たんたるものなのかどうか。  そこで、かつては優等生と呼ばれた日本の工業生産力が東南アジア諸国の台頭の中で相対的に低下する中、長野県は大胆な投資によって未来を切り開いていかなければなりません。長野県として成長させるべき分野は何を想定しているのか、また、その人材育成についてはどのように考えていくのか、林産業労働部長に伺います。  先ほど触れた日本の長期債務残高についてですが、現代貨幣理論、ММTは、自国通貨を発行できる政府、中央銀行は、自国通貨建てで国債を発行している限り、財政赤字でも、デフォルト、債務不履行をすることはないという理論があります。国会では、巨額な赤字でもインフレも金利上昇も起こっていない日本はММTの成功例という主張について、政府としてそのような考え方に基づく政策は現在取っていないと答弁し、市場の信認を確保するため財政の健全化の取組を進めていく必要があるとして、将来世代の負担を先送りすることなく、財政の健全化に向けて取組を進めていく必要があるとしています。  そこで、県として、財政規律の観点から財政健全化に向けて取り組んでいるものと考えますが、県財政を担う立場から、このММT(現代貨幣理論)についてどのような考えを持っているのか、また、財政規律について具体的に何を基準に確保しているのか、質問をいたします。  また、頻発する災害への対応、防災・減災、国土強靱化の取組、新型コロナウイルス感染症対策及び疲弊する県内経済の立て直しが急務である中、財源確保が困難な現状に対して、国が地方財政に関して財政健全化を勘案し、ММTを踏まえたより積極的な財政へとシフトできるよう地方財政措置の充実について国に求めていくべきと考えますが、いかがか。  最後に、県債について、このコロナ禍、令和4年度の予算編成において予想される県債の残高は幾らになるのか。また、県債の返済等により県民の暮らしへの影響はどの程度あるのか。また、今後も一定の県民サービスを保ちながら県財政を健全化できるのか。以上3点、玉井総務部長に伺います。       〔観光部長渡辺高秀君登壇〕 ◎観光部長(渡辺高秀 君)私には大きく6項目の御質問を頂戴いたしました。  まず、スキーリフト券キャンペーンの事業化の考え方、事業効果でございます。  昨年度実施いたしましたスキーリフト券半額キャンペーンでは、2月から約2か月間で9万6,000人余の利用があり、参加スキー場からは誘客効果があったとの声を多くいただいているところでございます。一方、休日には平日の約4倍の利用客が集中するなどの課題もございました。こうした状況や厳しいスキー場等の現状を踏まえ、今年度は、割引対象者を全国に拡大するとともに、週末を避け、平日利用としたものでございます。今後、宿泊割引事業などとも連動させながら、スキー場に多くの誘客を促し、県索道事業者協議会が目標とする延べ利用者数600万人を目指したいと考えております。  次に、スキー場従業員の検査についてでございます。  お話のありました当該事業は、スキー場における新型コロナウイルスの感染防止により、お客様や従業員双方の安全、安心な環境を形成するため、県索道事業者協議会が主体となって、その会員である全事業者が検査を実施するものであり、県ではその取組を支援するものでございます。今回の取組については、索道事業者から従業員の皆様に対して趣旨や効果などを丁寧に説明し、理解をいただいた上で実施していくものと承知をしております。  次に、Go To トラベルの効果についてでございます。  今回示された事業内容の変更は、割引率、割引上限額の見直し、地域共通クーポンの定額化など、低価格帯の宿泊事業者にも配慮がなされたものであり、ホテル、旅館、民宿、ペンションなど幅広い形態の施設に効果が波及するものと期待しているところでございます。また、平日の地域共通クーポンの上乗せにより、需要が平日に分散化される効果も見込まれるところでございます。  次に、小規模事業者のデジタル化対応支援でございます。  県では、今年度、信州安全・安心な宿魅力向上事業においてキャッシュレス決済システムの導入や予約・顧客管理システムのオンライン化なども補助対象とし、現在受付等を行っているところでございます。関係機関を通じた周知にとどまらず、新聞広告掲載のほか、コールセンターによる具体的な相談対応も行い、より多くの宿泊事業者に活用いただけるよう取り組んでいるところでございます。また、引き続き商工団体等とも連携を密にし、デジタル対応を含めた小規模事業者の課題解決を支援してまいります。  次に、スノーリゾート活性化の方向性についてです。  コロナ禍にあって、安全、安心な旅先や人との接触の少ない観光プログラムの選択、マイカー利用や家族等の少人数での旅行など、旅行者の行動変容を整理し、Afterコロナ時代を見据えた観光振興方針を昨年策定いたしました。スノーリゾートにおいても、この方針に沿って、感染防止対策の徹底による安全、安心な環境の提供、スキーのほかアウトドア体験プログラムの充実、かまくら、地域の食など家族等を意識した旅行プランの造成などの取組を進め、活性化を図ってまいりたいと考えております。  次に、DMOとの連携による各種取組の実行についてでございます。  広域的また魅力ある観光地域づくりのためには、観光に関わる様々な立場の事業者や組織が連携、役割分担し、目標に向かい一丸となって取り組むことは極めて重要と認識しております。県が重点支援をしておりますHAKUBAVALLEY TOURISMにおいても、様々な関係者が立場やエリアを超えて多くの調整を積み重ねながら着実に取組を進め、実績を上げてきたところでございます。まずは、こうした事例、成果を他の地域にも普及させるとともに、県観光機構と連携し、専門人材の派遣や活用できる制度紹介など地域の主体的な取組を支援してまいります。  DMOとスキー場との連携による国内観光需要喚起でございます。  冬のアクティビティーの核となるスキー場は重要な観光資源であり、エリア内の宿泊や観光施設等との連携により広域的な需要喚起も大きく期待できるところでございます。具体的には、広域的な共通スキープログラム、スキー場と宿泊・観光施設を組み合わせた長期滞在プラン、酒蔵、温泉等と連携した周遊プランなどの連携施策が考えられるところでございます。県としても、エリア内の行政機関、DMO等関係機関と連携し、こうした広域型プログラムの策定やプロモーションなどを支援してまいりたいと考えております。  コロナ後のインバウンドの受入れでございます。
     近年、インバウンドについては、自然に歴史文化やアクティビティーを組み合わせたアドベンチャーツーリズムがアフターコロナのテーマとして注目を集めております。お話の地域は、スキー、スノーアクティビティーのみならず、街道、神社、酒蔵など歴史的建造物や日本文化を体験できる施設が豊富な地域でございます。今後のインバウンド再開を視野に入れつつ、地域の関係者と連携し、中山道など街道を生かした商品造成を進めるとともに、商談会などを通じ、中部国際空港からのアクセスや地域の特徴を生かしたプロモーションを展開してまいります。  県内スキー場産業のデジタル化などの取組支援でございます。  昨年度、コロナ禍等を踏まえ、デジタル化の促進により、接触の減少や密の回避を図るため、サーモカメラ、非接触検温器、ICゲートの導入などを支援したところでございます。今後、これらの導入効果を関係者と共有し、相談対応を図ることにより、さらなるデジタル化の取組を促進してまいります。  最後に、アジアを視野に入れたスノーリゾートの形成に向けた展開でございます。  これまで、アジアにおいては、台湾、中国、香港、タイから冬期を中心に来県いただいております。特に、中国では、お話がありましたように、来年2月、3月に開催予定の北京冬季オリンピック・パラリンピックを契機としてウインタースポーツ市場の拡大が見込まれるところでございます。今後、こうした状況を踏まえ、アフターコロナ時代を見据えた観光振興方針に基づく施策を着実に進めるとともに、アジア圏のスキー・スノーボード愛好者向けイベント、メディアの招聘、エージェントへの具体的な商品提案などを積極的に実施してまいります。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、スキー場に対する支援策を国に強く要望してほしいと考えるがどうかという御質問であります。  スノーリゾートあるいはスキー場に対する支援策は、かつては十分なものがありませんでした。政府には、インバウンドをどんどん受け入れる一環として、スノーリゾートの活性化ということを考えて検討に着手いただきました。その際、私も、国のスノーリゾート地域の活性化に向けた検討会に委員として参画させていただき、長野県の実情を踏まえて、老朽化した索道施設の更新や受入れ環境の整備の重要性、必要性を訴えさせていただいたところであります。  国においては、この検討会の報告も踏まえて、令和2年度にインバウンド需要を取り込む意欲、ポテンシャルの高い地域を支援する国際競争力の高いスノーリゾート形成促進事業を創設していただいたところであります。  本県においては、昨年度は白馬バレー、志賀高原、野沢温泉、斑尾高原の4地域、今年度はさらにこの4地域に白樺高原が追加されて5地域の採択をいただいています。いずれの年も全国の中で本県の採択数が最多ということでありまして、長野県のスキー場のポテンシャルをしっかり評価いただいているものというふうに考えています。この補助金を活用して、最新型降雪機やICゲートシステム、自動券売機、こうしたものの導入が進んでおります。また、国内外の利用者に満足いただける受入れ環境の整備を進めていきたいというふうに考えております。  また、スキー場支援、スノーリゾート支援につきましては、これは多くのスキー場を有する長野県としては非常に重要なテーマでありますので、これまでも事あるごとに関係省庁にお願いをしてきています。先般も、国土交通省に対する要請の中で、観光需要の促進策と併せて、スノーリゾートに対する強力な支援についても要請させていただいているところでございます。多くのスキー場を擁する本県として、これは地域の振興や観光の振興にとってなくてはならない存在でありますので、引き続き県としてもしっかりこのスノーリゾート、スキー場の課題を共有しながら取り組んでいきたいというふうに思います。とりわけ、先ほど申し上げたように、国からの強力な財政支援が不可欠だというふうに思いますので、引き続き国に対して強く要望しながら、国の施策も積極的に活用してスノーリゾートの維持発展に努力をしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔総務部長玉井直君登壇〕 ◎総務部長(玉井直 君)私には、来年度予算に関連して6点お尋ねをいただきました。  まず、来年度当初予算で想定される収支差の圧縮、事業見直しの基準についてでございます。  来年度予算については、県税収入の増加を期待しつつも、新型コロナウイルス感染症への対応、防災・減災対策に加え、産業、暮らしのコロナ禍からの復興等に取り組むための歳出の増加が見込まれるところでございます。こうしたことから、国に対して、全国知事会等を通じて地方一般財源総額の確保を強く求めるとともに、予算編成作業に当たり、国庫補助金や交付税措置のある地方債の最大限の活用など歳入の確保に努めてまいります。  あわせて、徹底した事務事業の見直しによる選択と集中の強化、組織のスリム化や総人件費の適正化等により歳出の縮減を進めることで収支差を最大限圧縮した上で、効率的な予算執行に努めてまいります。  また、事務事業の見直しに当たっては、社会経済情勢や行政サービスの受け手に与える影響等に配慮しつつ、県の果たすべき役割や事業実施の必要性、緊急性などを十分精査した上で事業を厳選するとともに、費用対効果の検証、ICTの活用等による業務の効率化を図り、事業費の縮減等に取り組むこととしております。  次に、来年度予算の歳入の見通し、財源確保についてでございます。  県税収入や地方交付税などの歳入については、年末に示される地方財政対策や県内経済の動向などを分析した上で見込む必要がございます。現時点では、国から示されている地方財政対策において、一般財源総額が令和3年度と実質同額確保されるという仮定の下、試算しており、今後予算編成の中で精査をしてまいります。  また、先ほど御答弁したとおり、国に対し地方一般財源総額の確保を強く求めるとともに、予算編成作業において国庫補助金、交付税措置のある地方債の最大限の活用など歳入の確保に努めてまいります。  経済対策に資する事業の復活でございます。  今年度予算においては、新型コロナウイルスの感染拡大により予算化を見送ったり、内容や実施方法等影響を受けた事業もございます。現在、感染状況が落ち着いており、感染防止に配慮しながら社会経済活動の積極的な展開を促していく段階に移行してきたと認識しており、先般国が決定したコロナ克服・新時代開拓のための経済対策も最大限活用しながら必要な予算を編成し、暮らしと産業に対する当面の下支え、コロナ禍からの復興に全力で取り組んでまいります。  次に、現代貨幣理論、ММTについての考えと財政規律の基準についてでございます。  現代貨幣理論については、財源調達を容易にし、積極的な財政出動を可能にするとの肯定論がある一方、無秩序な国債増発に伴う大量の通貨発行により物価高騰のリスクを抱えるといった懸念から反対論もあり、評価が分かれているものと認識しております。  現代貨幣理論については、国全体の財政・金融政策の議論の中で検討いただくものと理解しておりますが、私ども県としては、地方財政に大きな影響を及ぼすこと、また、将来世代に過度な負担を負わせることのないよう求めていきたいというふうに考えております。  財政規律の基準については、従来より持続可能な財政運営に心がけており、実質公債費比率、将来負担比率などの財政健全化判断比率を適正水準に維持することなどを通じまして財政規律の確保に努めているところでございます。  現代貨幣理論、ММTを踏まえての地方財政措置の充実についてでございますが、私ども地方自治体としては、このММTに関わらず、あくまで地域の実情に応じた施策展開に必要な地方一般財源総額の確保を引き続き国に求めていきたいというふうに考えております。  最後に、令和4年度当初予算編成における県債残高の見込み、それから県債の返済等による県民生活への影響や健全化の見通しについてでございます。  災害への対応、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策等を積極的に活用したことなどによりまして、これまでの補正予算を踏まえた県債の今年度末残高は1兆6,887億円に達する見込みでございます。  令和4年度の当初予算においても災害に強い県づくりを重点テーマに掲げ、防災・減災対策を強力に進めることとしていることから、当面県債残高全体は増加する見込みでございます。ただし、国の国土強靱化5か年加速化対策を活用する分を除いたいわゆる通常債の残高は着実に減少する見込みであるほか、交付税措置のある地方債の活用により将来負担比率への影響も限定的であるなど、財政の健全性が大きく損なわれる状況にはないものと認識しております。  引き続き将来世代に過度な負担を負わせることのないよう、投資的経費の厳選により建設事業債の発行を極力抑制するとともに、県民の皆様の暮らしに寄り添った施策の充実に努めてまいる所存でございます。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)日本の工業生産力が低下する中で、成長させるべき分野とその人材育成についてのお尋ねでございます。  本県の総生産は、2018年に約8.6兆円となり、ようやくリーマンショック前の規模まで回復したところですが、全体の3割を占める製造業の動向が大きな影響を及ぼすことから、その成長戦略が大変重要と認識しております。  議員御指摘のように、県内企業がグローバル競争を生き抜くためには、急速に進むデジタル化への対応や、グリーン分野をはじめ、ロボット、医療機器、宇宙開発などの成長期待分野への参入を後押しするとともに、企業の経営戦略にSDGsを取り込むなど、ESG投資を促す取組も求められるところです。  県では、こうした県内企業の成長戦略を支援するため、工業技術総合センターの機能強化や開設準備中の産業振興機構、NICEに付置されるIoT推進ラボ等のDX促進、企業のコア技術を成長分野へ実装する産学官プロジェクトなど、産業のイノベーション施策に注力してまいります。  一方、人材育成につきましては、デジタル人材の強化、リカレント教育の充実、若者が技術者を目指す社会づくりといった視点を盛り込んだ長野県産業人材育成プラン2.0を策定したところです。企業の成長に欠かせないリスキリングも含め、社会環境の変化に適応できる産業人材の育成に取り組んでまいります。       〔19番大畑俊隆君登壇〕 ◆19番(大畑俊隆 君)それぞれ御答弁いただきました。  スキー場経営は装置産業であるため、さきの質問で触れたとおり、今後は設備更新との戦いとなってきます。スキー人口に見合う施設数を考えたときに、あまりにも日本のスキー場の数は多いわけで、自然淘汰されていくのは競争の原理として仕方のない結果であるかもしれません。しかしながら、スキー場廃業に伴うものは、スキー場の原状回復であり、そこには多額な費用がかかるため、休止状態となっている事業者も少なくなく、今後はますます増える可能性を秘めています。冬期間の観光産業を担うスキー場産業は、さきに触れたように、雇用創出、経済波及効果により今も地域経済にとって大きな支えとなっています。  よって、スキー場が今後も地域にとってより多くの効果を上げ、持続可能な経営を図るために、県としても一層の支援策を講じていただくことをお願いするところであります。  また、県財政については、コロナ禍において感染症対策、経済対策にはしっかりと取り組んでいただいており、今後もそのかじ取りをお願いするところであります。そして、今後の財政においては、県民の暮らしを支え、持続可能な県政運営を図っていくためには、長野県内の成長戦略事業への積極的な財政支出を行い、長野県経済の安定を図っていただくことをお願い申し上げ、私の一切の質問を終了いたします。 ○副議長(清水純子 君)次に、寺沢功希議員。       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君)8月20日に2万5,975人を記録した全国の1日の新規感染者数も、11月22日には僅か45人と大幅に減少し、感染状況はかなりの落ち着きを見せており、これまでの抑制への反動と秋の紅葉、行楽シーズンも相まって、人々の流れも活発になってきています。しかし、新たな変異株も国内で確認され、決して浮かれることなく、これまで幾つもの波を経験してきた私たちは、今こそ必ず来るとされている第6波に備え、これまでの経験を踏まえ、対応策を講じておかなければなりません。  そこで、健康福祉部長にお聞きします。  県内の1日の新規感染者数がまだ連日2桁を記録していた数か月前の深夜、家族が39度を超える高熱を出しました。夜間救急病院へ電話をしたところ、検査は日中しか行っていないため、翌日の朝9時以降に発熱外来へとのことでした。高熱以外症状はなく、急を要するような状態ではありませんでしたが、ここでふと考えます。もし新型コロナウイルスに感染していたとすれば、家族全員濃厚接触者となります。であれば、翌日は仕事、学校を休まなければならず、その判断のためには、できれば朝を迎えるまでに検査をしたいところです。そこで、県のホームページに、受診・相談センターの案内として10の保健福祉事務所及び長野・松本両市の保健所名とそれぞれの電話番号が掲載され、24時間対応とされていたため、夜間検査可能な医療機関があるか問合せをしました。しかし、医療機関については各市町村のホームページを確認して自分で調べるように、また、こちらは医師ではないので医療的アドバイスはできないとの対応でした。各保健福祉事務所での対応かと思っていましたが、後に確認すると、業者に委託しており、しかも県外とのことでした。  果たして、この程度の対応しかできない24時間対応は、さらに、受診・相談センターは必要なのでしょうか。中には、家族が感染の可能性があっても、陽性の確定がなければ仕事や学校を休む決断ができなかったり、まあ大丈夫だろうといった甘い判断で自宅待機をしない方がいるのも事実であり、こうした例により感染が拡大する可能性もあります。現在県内で夜間に重篤患者以外が抗原検査、PCR検査可能な機関はどの程度あるのでしょうか。  新型コロナウイルスについて何も分からなかった当初とは、状況は大きく変わっています。県として24時間の相談体制を取るのであれば、内容を見直すべきではないでしょうか。例えば、市町村でも配布している簡易検査キットを夜間に渡すことも有効ではないでしょうか。県民が不安に過ごす時間を少しでも解消できますし、安易な考えで翌朝行動する人も減らせると思います。また、アドバイスや医療機関の紹介は、相談者が自ら得ることができない情報でないと意味がありません。そのためにも、委託業者については、地域事情をよく知る県内業者にすべきと思いますが、県の考えをお聞きします。  続いて、2016年に普通教育確保法が成立し、2019年には学校外の施設において相談・指導を受けた日数を指導要録上出席扱いとすることができることとするとした文科省通知が出されるなど、不登校の支援の在り方は以前に比べ大きく変わり、それと同時に、フリースクールも広く認知され、その存在の重要度も増してきています。  しかし、そんな中、県内の小中学校における不登校児童生徒数は8年連続で増加しており、全国同様過去最多となっています。その中で、自然保育、やまほいくに通っていた子供たちは、自然の中で自由に伸び伸びと過ごしていたため、ルールの多い小学校生活になじめないことや、自然に触れる豊かで充実した学びを経験したため、小学校での授業をつまらなく感じるようなことも多いようです。就学前に自然保育、やまほいくで過ごしたり先進的教育を受けた子供たちが、小学校入学後に感じる身についた知識や技能と授業内容や質とのギャップや、学びからしつけを伴う教育への変化を解消することが重要と考えますが、今井教育次長に御所見をお聞きします。  現在の支援の在り方は、不登校児童生徒に対し学校復帰を目指させるものではありませんが、フリースクールの支援や学び、また、成長の中で、自ら学校復帰を望む子供たちも少なくありません。とはいえ、いきなり通常学級への復帰はハードルが高く、段階的な復帰を望み中間教室や支援学級の利用を相談した場合、発達障害の診断等を条件としている自治体もあるようです。不登校児童生徒の全てが障害を抱えているわけではありませんし、発達障害の疑いがあったとしてもあえて診断を受けない選択をするのも自由です。不登校への支援同様、スムーズな学校復帰へのサポートも必要であると考えますが、体制はどのようになっていますでしょうか。  不登校児童生徒にとって、フリースクールに対しても、合う、合わないがあります。中には、バスや電車を乗り継ぎ、片道2時間以上かけてフリースクールに通う子供もいるようです。利用料や交通費を払ってフリースクールに通う子供たちは、自ら進んで通っているわけではなく、学校に行きたくても外的要因のため行くことができなくなってしまった子供たちがほとんどです。現在、県として、フリースクールに通う児童生徒に対する財政的支援はありますでしょうか。  フリースクールもまた厳しい運営状況であります。学校と違い、ながら経営は難しく、運営に専念しなくてはならず、収入源は、最小限に抑えた児童生徒から徴収する利用料のみとなり、運営はもちろん、運営者の生活も厳しいという例も少なくないようです。フリースクールに対しての財政的支援の状況はどのようなものになっていますでしょうか。  フリースクールについては、定義はなく、以前の一般質問で県内のフリースクールの正確な数は把握できていないとの答弁もありました。残念ながら、中にはフリースクールの支援とは程遠い内容の施設が存在するのも事実です。一方で、週1日、2日の運営で、フリースクールとまでは言えないまでも、大変重要な役割を果たしている、いわゆる居場所もありますが、フリースクール以上に行政からの支援は少ない状況です。今後の県としてのスムーズな支援や、市町村、県教育委員会との情報共有、連携を考え、居場所を含めた県独自のフリースクールの認定制度を設けることを提案しますが、いかがでしょうか。信州やまほいく認定制度の成功例を持つ長野県だからこそ、型にはめるものではなく、支援の質や学びを保障する認定制度を設けることが可能だと思います。以上、こども若者局長にお聞きします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、夜間のコロナ対応についての御質問を頂戴しております。  まず、受診・相談センターの必要性についての御質問でございます。  受診・相談センターは、令和2年11月、季節性インフルエンザ流行期に備えるため、かかりつけ医等の地域の身近な医療機関中心の相談、診療、検査体制へ移行するに当たりまして、かかりつけ医等を持たない方や、土日祝日、夜間など相談先に迷った場合にも対応できるように設置したところでございます。  センターの業務は、保健所の負担軽減のため、民間へ委託しております。相談の中で、胸が苦しかったり手足にしびれがあるなど緊急性が高いと思われる場合は、常駐している看護師の判断で救急車を呼ぶように促し、そうでない場合は近隣の診療・検査医療機関を紹介することとしております。お話を伺っておりますと、当時はセンターの説明に不十分な点があったと考えております。その点、大変申し訳なく思っております。今後、丁寧な相談対応となるよう改善に努めてまいります。  それから、次に、夜間に検査を受けられる機関についての御質問でございます。  本年11月現在、発熱患者等の相談や診療に応じる診療・検査医療機関は615ございます。このうち441医療機関では、診療だけでなく、抗原検査やPCR検査が可能となっております。夜間に受診・相談センターに電話で御相談があった場合は、これらの中から近隣の医療機関を紹介することとしております。症状をお聞きして、緊急性がある場合は、夜間でも救急医療施設において適切な診療検査を受けていただける体制が整っておりますが、そうでない場合は翌日以降に医療機関を受診していただくこととなります。  なお、本年9月以降、薬局で抗原簡易キットを購入し、体調が気になる場合は気軽にセルフチェックができるようになっております。また、県においても、お話にもございましたとおり、市町村の御協力の下で、希望する方に事前に配布する事業にも取り組んでおります。夜間に御自分でチェックをされる場合はこのキットを活用していただくことも一つの方法であると考えておりますので、その点、今後とも周知を行ってまいります。  それから、簡易検査キットを夜間に渡す体制をつくってはどうかとの御指摘を頂戴いたしました。  ただいま申し上げましたとおり、あらかじめ簡易検査キットを入手して、夜間に症状が出た場合などに御自宅等で使用することが可能でございますが、その結果のみで感染の有無を確定させることはできません。必ず翌日以降に医療機関を受診していただく必要がございますので、こうしたことから、夜間に配布する体制の構築までは考えておりません。ただし、夜間に症状が出た場合の不安を解消するということは非常に重要なことであると思っております。コロナの症状に関する正確な情報の提供や周知、また、増悪のおそれが低い場合であっても、受診・相談センターにおいて丁寧に相談への対応をすることによって不安を和らげるよう努めてまいります。  受診・相談センターの委託についてでございますが、委託に当たりましては、保健師や看護師を常駐させて、有症状者等から相談や健康全般に関する相談に対応できること、一定規模以上の回線を確保できること、同等の契約実績を有すること等を条件に契約を締結しております。必要に応じて医学的なアドバイスが可能な体制となっております。  なお、センターで対応が困難と判断した場合は、随時保健所と連携して対応することとしております。今後とも、医療機関の紹介など的確な相談対応ができるように努めてまいります。  以上でございます。       〔教育次長今井義明君登壇〕 ◎教育次長(今井義明 君)小学校入学後に感じるギャップの解消についてお尋ねいただきました。  議員御指摘のとおり、子供の発達や学びは連続しているため、遊びに打ち込む体験により育まれる主体性や創造性を小学校教育を通じてさらに伸長していく必要があると承知しているところでございます。  そこで、信州幼児教育支援センターでは、幼稚園や保育園などから小学校への接続における大切な考え方を「園・小接続カリキュラムの開発(理論編)」という冊子にまとめ、令和3年3月に県内全ての幼児教育施設と小学校に配付いたしました。この冊子では、例えば、小学校に入学して間もない児童に対して過度に生活規律を守らせるよう指導することや、小学1年生は何もできないと捉え一から学習の基本を教えようと教師の指示に従わせることなどを例示し、これらが園小の望ましい接続を妨げてきた一因であることを伝えております。  本冊子の配付を受け、課題意識を高めたある市では、市内の全ての園長と小学校長が一堂に会し、指導主事も交えて各園や小学校の実情に合わせた望ましい接続の在り方について議論し合う研修を行っております。さらに、本年度は、池田町と信濃町をモデル地域に指定し、その取組をまとめた「園・小接続カリキュラムの開発(実践編)」を作成しているところでございますが、これを活用するとともに、園小接続が円滑に進んでいる市町村の取組を一層周知し、小学校入学に伴うギャップの解消に努めてまいりたいと考えております。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私にはフリースクールについて3問御質問をいただきました。  まず、フリースクールからのスムーズな学校復帰へのサポート体制についてでございます。  不登校などによりフリースクールを利用する子供たちにとって、自分に合った学びの場で学び続けることが重要であり、在籍校への復帰は必ずしも目標とするところではございません。  しかしながら、子供の意思により在籍校への復帰を希望する場合には、議員おっしゃるとおり、フリースクールと在籍校が連携して、子供にとって戻りやすい環境を整えてあげるということが大切だと考えております。そのためにも、日頃からフリースクールが在籍校と連絡を取り、フリースクールでの子供の様子や生活態度、学習の進み具合などの情報を提供することがとても重要でございます。  加えて、子供が在籍校へ戻ることについて前向きになった場合には、フリースクールの場を活用して在籍校の先生が子供と面談をし、復帰プロセス等に関する本人の希望に耳を傾けるとともに、在籍校の様子を伝えるなどにより、フリースクールと在籍校が協力して子供の復帰に向けて対応していくことがスムーズな移行の実現につながるものと考えております。  県におきましては、フリースクール、在籍校の先生、教育委員会、保護者など関係する方々がこうした協力関係を築くことができるよう、情報交換や意見交換を行う場づくりというものを進めて、地域の連携支援体制づくりを支援してまいりたいと考えております。  次に、フリースクールに通う児童生徒及びフリースクールへの財政的支援についてでございます。  何らかの理由で学校に行くことが難しい子供たちにとって、フリースクールは大きな役割を果たしている場所だと認識しております。フリースクールに通う場合の利用料につきましては県では支援を行っていませんが、フリースクールに対する支援につきましては、不登校児童生徒を支援する民間団体の方々からの意見を基に、今年度から教育委員会と連携をした支援事業を実施しているところでございます。  具体的には、フリースクールがICT教育に対応するための機器などを整備する場合、また、学びの多様性、専門性を確保するために外部講師を招聘する場合にその費用を補助することとしております。これにより、フリースクールを利用する児童生徒のニーズに合った学びの充実を図っているところでございます。  最後に、フリースクールの認定制度の創設について御質問をいただきました。  様々な困難を抱える子供たちにとって、自分に合った居場所を確保することは将来の自立や自分らしい生き方を模索する上で大切でございます。そうした子供の居場所となるフリースクールについては、教育方針や授業の実施形態、子供へのアプローチ方法などが様々であり、その多様性や自由な雰囲気がフリースクール等の持つよさであり、特性であると捉えております。  御提案の認定制度は、フリースクール等に対して一定の基準や要件を課すことで子供や保護者にとって安心して利用しやすくなるという効果が期待できる反面、多様性や自由な雰囲気というフリースクールのよさを損なう可能性もあるということから、慎重に検討する必要があると考えております。  フリースクールの特性を生かしながら利用者にとっても安心して利用できるための方策や、フリースクールやフリースクールを利用される方への支援の在り方につきましては、現在行っている支援事業の実施状況や効果、フリースクールの実態、関係者の皆様方からの御意見などを踏まえながら引き続き検討してまいります。       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君)受診・相談センターにつきましては、行政サービスに当たり外れがあってはいけないと思います。ましてコロナ対応ですから、そこは慎重に対応していただきたいと思いますし、そこまで重篤な患者さんであれば、受診・相談センターに電話する前にまず自らが救急車を呼ぶと思いますので、改めて再度見直しをお願いいたしまして、次の質問に移ります。  本年6月、国会において、医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律が成立し、9月18日に施行されました。医療的ケア児とは、日常生活及び社会生活を営むために恒常的に医療的ケアを受けることが不可欠である児童とされています。今回、医療的ケア児の健やかな成長を図るとともに、その家族の離職の防止に資し、もって安心して子供を産み育てることができる社会の実現に寄与することを目的とし、立法されました。  そこで、健康福祉部長にお聞きします。  近年、医療技術の進歩に伴い、医療的ケア児は増加しており、ゼロ歳から19歳までの在宅の医療的ケア児の推計値は、平成17年に9,987人だったのに対し、令和元年には2万155人と倍以上の数となっていますが、県内の状況はいかがでしょうか。  医療機関を退院後は、選択肢が広がる就学年齢に達するまでは在宅での介助になります。在宅となれば、保護者が常時介助することとなり、不安や孤独、精神的な負担が大きくなるのはもちろん、夜間の介助もあり、睡眠時間が2~3時間であるとも聞きます。介助する保護者の皆さんが心身ともにやられてしまう例も非常に多くあります。一時的に子供を預かってもらうことで、レスパイト、休息やリフレッシュすることができますし、就労の可能性も出てきます。県内のレスパイト入所可能な施設の状況はいかがでしょうか。  法律では、保育所及び学校の設置者は看護師等を配置することが責務とされていますが、十分対応できているのでしょうか。県内の配置の現状をお聞きします。  また、設置者の責務のため、県立学校以外は市町村や運営者が配置することとなります。人材確保等様々な障壁もあるかと思いますが、この点について県のサポート体制はできているのでしょうか。保育所、学校、それぞれこども若者局長、教育長にお聞きします。  看護師も、誰でもいいということではなく、研修等を受けるなど、より専門性が求められたり、専門知識を持った介護スタッフが足りないとも聞きます。現状と県の対策をお聞きします。  看護師等を配置したとしても、重度の医療的ケア児の通学先としては、特別支援学校以外では難しいのが現実です。法律では、学校の設置者は保護者の付添いがなくても支援が受けられるよう必要な措置を講ずることとされています。県内全ての特別支援学校で保護者の付添いなしでの受入れ体制は整っているのでしょうか。現状を教育長にお聞きします。
     医療的ケア児も、いつかは成人期を迎え、医療的ケア者となり、受入れ施設も十分でない現状では、幼児期同様、介助の選択肢はかなり狭まることとなります。今回、法律の施行に当たり、衆議院厚生労働委員会でも、医療的ケア児の成人期への移行に際して行う支援について万全を期すこととして附帯決議されています。医療、介助の成人期への移行支援の状況をお聞きします。  法律の概要では、都道府県の責務として、医療的ケア児支援センターを自ら設置もしくは社会福祉法人等を指定することとされていますが、実際の条文では「できる」と明記されており、いわゆるできる規定として定められたもので、義務づけられてはいません。県としては設置の方向で考えているのでしょうか。また、その場合、スケジュール等検討状況はどのようなものになっていますでしょうか。以上、健康福祉部長にお聞きします。  今年8月、中信地方に住む医療的ケア児の母親3人が、県内の医療的ケア児とその家族の実態を把握するため、医療的ケア児を持つ御家族と医療従事者を対象にアンケート調査を実施しました。このほど調査報告書がまとめられ、県に提出されました。知事はこの報告書を御覧になりましたでしょうか。  調査報告書の冒頭に、「実際の声を拾うことで、各家庭が抱える不安とそれに対する打開策を模索していく。調査結果から可視化する課題を行政と共有することで、医療、福祉、障害等の予算の確立、地域の連携強化につながることを期待したい。そして、医療的ケア児と暮らす御家族にとって安心して暮らしやすい地域を目指していく」と、本当に頭の下がる文章が本調査の目的として書かれています。今回、お母さん方が、まして介助をしながら自ら立ち上がり、行動されたことをどのようにお感じになられておりますでしょうか。  先日、寿台養護学校にお邪魔してきました。この日もケアの必要な重度重複障害の子供たち5人が、看護師付添いの下、授業の一環で楽しそうに中等部の皆さんと交流を行っていました。保護者の方と意見交換も行い、要望もいただきましたが、医療的ケアを必要とする子供たちにとってはもちろん、在籍する児童生徒、教職員、保護者の皆さん、関係する全ての皆さんにとって、お世辞にも十分な設備であると言える状況ではありません。  学校の窓から北側を見ると、広大な敷地に大小複数の建物が目に入ります。2018年に移転し、閉院した中信松本病院の跡地です。私は、2018年の6月と11月定例会の一般質問で、2回にわたり、この中信松本病院の跡地利用を念頭に、ワンストップの総合福祉センター設置の可能性について質問いたしました。今回の医療的ケア児支援センターの設置に合わせ、県の中央に位置し、長野道のインターチェンジからも近くアクセスもよいこの中信松本病院の跡地を、医療的ケア児支援センター、レスパイト入所施設、リハビリセンター、発達障害支援センター、研修施設等々、ここに行けば全てがそろっている総合福祉センターとして整備してはいかがでしょうか。  今回の実態調査では、悩み、要望として、公的相談窓口や医療的ケア児の預け先と、主介護者の休息時間や就労等が多く挙げられています。総合福祉センターが実現すれば、子供を預けながらそこで働くことも可能となります。また、現在も敷地を借りている寿台養護学校もさらに柔軟な活用が可能となります。これだけ多くの課題解決の可能性がある事業だと考えますが、今後の可能性をお聞きします。  法律も施行され、その後押しも受け、保護者の皆さんも自ら立ち上がった今、県立こども病院を抱える長野県としては、一歩を踏み出す、まさにここしかないといったタイミングであると思います。今後の医療的ケア児への支援の方向性と決意はいかがでしょうか。以上、知事にお聞きします。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)医療的ケア児について、私には合計5点御質問をいただいております。  まず、県内の医療的ケア児の状況についてでございます。  県では、令和元年度に市町村や医療機関に照会いたしまして、日常生活を営むために医療を要する状態にある20歳未満の障害児の実態調査を行いました。同年4月時点で県内に少なくとも508名の方がおられることが確認されたところでございます。生活の形態としては、全体の8割を超える417名の方が在宅で生活されており、残りの方が施設入所あるいは入院中となっておりました。日常生活に必要な医療的ケアとしては、チューブで栄養を取る経管栄養が最も多く258人、たんの吸引が207人、呼吸をしやすくする気管切開が130人となっており、人工呼吸器を使用されている方も100名いらっしゃいました。  次に、レスパイト入所可能な施設の状況についてでございます。  県内の短期入所事業所は、本年11月1日時点で156か所ございますが、医療的ケアを必要とする重症の心身障害児者が利用可能な医療型の短期入所事業所は県内に17か所となっております。医療的ケアが頻繁に必要であったり、急変時の対応が可能となる職員配置が不可欠であることなどから、こうした施設のほとんどは病院または診療所が空きベッドを利用する形態で運営しております。  次に、専門知識を持った看護師、介護スタッフの現状と対策についての御質問でございます。  関係者と協議を行った際に頂戴した意見でございますが、医療的ケアが必要なお子さんを施設や学校、保育所等でお預かりするためには、専門知識を有する看護師や介護職員の育成が欠かせない、こういう御意見をいただいております。県では、平成30年度から人材育成の研修事業を実施してきたところでございまして、これまでに事業所等で医療的ケア児を支援する者の研修では233名が修了し、地域で多職種連携をコーディネートする者の研修では143名、看護職からの相談を受ける看護リーダーの研修では17名がそれぞれ修了しております。  次に、成人移行期の方への支援についてでございます。  県では、患者が小児期から成人期への移行を迎えた際に、自身の意思で医療を決定するなど患者の自立性を育てるための支援や、就学・就労と治療の両立支援を目的といたしまして、令和2年10月に長野県移行期医療支援センターを設置したところでございます。このセンターは、信州大学医学部附属病院に委託しておりまして、成人期の患者に対応可能な医療機関に関する情報の収集や、小児診療科と成人診療科の連絡調整などの支援を行っております。  また、福祉面の取組といたしましては、地域のコーディネーターが学校の担当教員と調整しながら、卒業後の居場所の早期の確保に努めるとともに、長野県障がい者プランに基づき、日中活動の場となる生活介護事業所や就労継続支援事業所、生活の場としてのグループホームなど、地域生活を送る上で必要なサービス基盤の整備を進めているところでございます。  次に、医療的ケア児支援センターの設置についてでございます。  本県では、医ケア児等支援スーパーバイザー2名を平成30年度から配置しております。医療的ケアに専門的知見を有する人材でございまして、当事者家族や関係者からの専門的相談や多職種連携の調整、人材育成などに取り組んでまいりました。  今回の法律によりまして県が設置できることとされた医療的ケア児支援センターでございますが、この機能を県独自に先行して実施してきたというふうに考えております。新年度には、さらに体制を強化いたしまして、県庁内にセンターを設置する方向で検討しております。  医療的ケア児に関する相談支援の情報の集約点になり、御家族や関係者からの相談をしっかりと受け止め、関係機関と連携して対応できるよう、体制の充実を図ってまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には保育所における医療的ケア児の受入れ状況及び県の支援について御質問をいただきました。  県が今年度実施した調査によりますと、現在11市町村18施設で30人の看護師を配置または派遣し、23人の医療的ケア児の受入れを行っているところでございます。一方、看護師の確保が困難、保護者の通勤の都合で受入れ体制を整えた園に通園できないなどの理由によって、6市町村で8人の医療的ケア児の保育ニーズに応えられていない状況でございます。  県としましては、市町村が看護師等を雇用し、または訪問看護ステーションから派遣を受けて保育所等における医療的ケア児の受入れ体制を整備する場合は、国の補助事業を活用し、その経費の一部を補助しているところでございます。県としましては、ニーズに対応できていない市町村に対しては、先行実施している市町村の実践例を紹介するなどして補助事業の積極的な活用を促すことにより、保育所における医療的ケア児の受入れ体制の整備を支援してまいりたいと考えております。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、学校における医療的ケア児についての看護師等の配置状況、サポート体制についてのお尋ねでございます。  医療的ケアを行う看護師等の配置状況でありますけれども、まず、特別支援学校においては、本年度申請があった133人の全ての児童生徒の医療的ケアを行うために必要となる看護師延べ42人を各校に配置し、対応してきているところでございます。それから、小中学校では、これは元年度の調査になるのですが、設置者である市町村が必要となる看護師を確保することとなりますけれども、13市町村に30人の医療的ケアが必要な児童生徒が在籍しており、うち28人に対して延べ48人の看護師を配置して対応しているところでございます。  県教育委員会では、市町村から小中学校で医療的ケア児を受け入れるに当たっての相談があった際には、受入れ体制構築についての助言や先行事例の紹介をしたり、看護師確保のために必要な情報を提供したりしているところであります。また、学校看護師が必要な知識やスキルを学ぶことができるように、県が特別支援学校の看護師を対象に実施している研修の機会に、小中学校の看護師にも参加していただきまして、人材育成の面からも支援しているところでございます。  次に、特別支援学校における重度の生徒の受入れ体制であります。  重度の医療的ケア児を受け入れるに当たりまして、従前は人工呼吸器を使用する児童生徒については原則保護者の付添いをお願いしてきたところであります。平成28年度からは保護者付添いなしで受け入れるためのモデル研究を実施しまして、昨年度、受入れに向けた緊急時の対応や校内体制に関する特別支援学校における学校体制による人工呼吸器を使用している児童生徒への対応ガイドラインというものを作成したところであります。保護者付添いなしでの受入れ申請があった場合については、このガイドラインに沿って、各特別支援学校で緊急時における医療機関との連携や学校看護師の人工呼吸器の取扱いなどについての検討や準備を行うとともに、県教育委員会では、特別支援学校医療的ケア運営協議会におきまして専門家の意見も伺いながら一人一人丁寧な検討を行い、順次実施してきているところであります。現在2名を付添いなしで受け入れておりまして、残り3名についても準備が整い次第受け入れることとしているところでございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)医療的ケア児に対する支援に関連して3点御質問をいただきました。  まず1点目、当事者の御家族が行ったアンケート調査についてであります。  今回御質問いただいて、長野県医療的ケア児母親の会の皆さんが取りまとめた医療的ケア児とその家族の実態アンケート調査報告書を拝見させていただきました。本来行政が取り組むべき調査を行っていただいたことに心から敬意を表したいというふうに思います。  また、ここに記載されている保護者の皆様方の生の御意見、数値化するとなかなか思いが伝わらないようなものも個別に記述をいただいていますので、率直な御意見、切実な悩みが非常に伝わってくるアンケート結果になっているというふうに思っています。そういう意味で、我々行政としては、このように御努力いただいて取りまとめていただいた報告書を今後の取組にしっかり生かしていかなければいけないというふうに受け止めています。  最後のところに、どうか家族の声に耳を傾けて新しい時代のスタートを踏み出してほしいというような記述もありますので、私は、このアンケートをされた方をはじめとして、医療的ケア児の御家族とまた意見交換させていただき、悩みや課題を共有させていただくようにしていきたいと思います。  それから、中信松本病院の跡地に関連してでございます。  前回も御答弁させていただきましたけれども、障害者に対する支援、医療的ケア児に対する支援は、できるだけ身近なところでできる体制をつくっていくということが大変重要だというふうに思っています。  そういう観点で、現時点で中信松本病院の跡地に総合的な福祉施設を県として整備していくという考えはありません。ただ、中信松本病院の敷地は、現在、隣接している寿台養護学校がその一部をプレイルームや駐車場という形で借用させていただいているという状況にございます。このため、今後、寿台養護学校の児童生徒数の見通し等も踏まえて、非常に子供たちの数が増えてきている状況だというふうに認識しておりますので、中信松本病院の敷地の活用については、教育環境をさらに充実していくことができるよう、現在所有されております国立病院機構と相談していきたいというふうに考えております。  それから、今後の医療的ケア児支援の方向性についてでございます。  医療的ケア児支援法が施行されたということが、我々行政としては一番大きなこれからに向けての基盤、基本として取り組まなければいけない部分だというふうに考えております。当事者の気持ち、御家族の考え方、こうしたものをしっかり承りながら、長野県は広い圏域でございますけれども、どういう場所に住まわれている方々でも適切な支援が受けられるような体制整備を図っていかなければいけないというふうに考えています。  そうした観点で、先ほど健康福祉部長からも御答弁申し上げたように、医療的ケア児支援センター設置の方向で取り組んでいきます。我々自治体としては、国の法律で設置の義務づけとか計画の策定の義務づけはやめてほしいというふうに言っていますが、この法律は、そういう部分にはかなり配慮していただいています。義務づけされなければ都道府県は何もやらないというようなことがあってはいけないというふうに思いますので、義務づけがされていないからこそ積極的に考えていかなければいけないというふうに思っております。  そういう観点で、この法律は計画の策定等の義務づけも行われていないわけで、これは、分権の観点から非常に望ましいと思っておりますけれども、だから何もしないということがあってはいけませんので、今日も、教育長、県民文化部こども若者局長、健康福祉部長と答弁させていただいていますけれども、この法律を踏まえて、市町村、関係機関との役割分担も考えながら県としての取組方針を取りまとめていきたいというふうに考えております。また、そうした医療的ケア児に対する具体的な支援策が実行できるように市町村とも連携を深めていきたいというふうに考えています。医療的ケア児支援法の趣旨を踏まえた対応を今後しっかり講じていきたいと考えております。  以上です。       〔27番寺沢功希君登壇〕 ◆27番(寺沢功希 君)知事から前向きな力強い答弁をいただきました。  今年、東京パラリンピックが開催され、多くの選手の活躍が話題となり、人々に感動を与えました。その選手の隣でサポートする伴走者も、真剣なまなざしや笑顔と、選手と同じ表情を見せていました。メダリストの伴走者にもメダルが授与されます。まさに共に勝ち取ったメダルとなります。  人間は決して一人では生きていけません。互いの足りない部分、大変なところを笑顔で補い合って、誰もが自分らしく共に生きる長野県になりますことを願いまして、一切の質問を終わります。 ○副議長(清水純子 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時35分休憩          ──────────────────         午後2時50分開議 ○議長(宮本衡司 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  川上信彦議員。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)初めに、奨学金返還支援について伺います。  日本学生支援機構によれば、返還が必要な貸与型奨学金の利用者は全国で約129万人、学生の2.7人に1人が利用しています。大学生1人当たりの平均貸与額は、無利子型が241万円、有利子型が343万円となっており、若者の皆さんと懇談をすると、奨学金の返済の負担が大きいとの声をお聞きします。中には、社会人になって毎月2万円を20年間支払っている人もいます。  6月定例会の一般質問でも取り上げましたが、令和2年度に国の支援制度が拡充されたことを受け、全国で奨学金返還支援制度の活用が促進されています。奨学金の返還支援は、学生にとってはUJIターン就職の選択肢が広がること、企業にとっては必要な人材の確保につながること、また、社会人にとっては若い年齢から結婚や子育てを見据えたライフデザインを描きやすくなることなどが期待されます。  令和2年6月現在、全国では32府県423市町村が実施しており、県内でも30の市町村で支援策が講じられていますが、長野県では実施されておりません。県において学生を対象とした人材確保に効果的な施策を講じるには、大学等進学時と卒業後の就職時の二つの時点に焦点を当てて重点的に取り組むことが有効と考えます。コロナ禍で経済が不安定な中、貸与型奨学金を受ける中間所得層の負担と不安の軽減のため、奨学金返還支援の充実が必要であります。自治体と企業がそれぞれ奨学金返還支援に取り組むことは、地域の未来を担う子供たちにとっても将来の選択肢を増やす重要な取組であり、進学を望む若者たちの背中を押すことにもつながると考えます。  そこで、このような将来の選択肢を増やす取組について、教育的観点からどのように捉えているのか、教育長に所見を伺います。  また、奨学金返還支援制度が充実することは、卒業後の経済的な不安が緩和され、将来の見通しがつくことで、子育て支援、少子化対策にも有効と考えますが、こども若者局長に所見を伺います。  現在実施されている全国32府県の支援策について見てみると、新潟県Uターン促進奨学金、石川県ものづくり人材奨学金、富山県理工系・薬学部生対象奨学金等、各府県で地域の実情に応じた様々な支援策が創設されています。これら支援制度の多くは、個人を対象とした事業ですが、京都府ほか3府県では、企業による従業員の支援を事業の対象としています。これら府県では、公式ホームページで奨学金返済支援制度を導入した企業の一覧を公開し、企業の人材確保の取組を支援しております。現在、コロナ禍で、企業においてオンライン会議やテレワークの取組が定着し、働き方改革が促進する中、若者が就職先を選ぶ基準も、ワーク・ライフ・バランスの実現や福利厚生等個人の生活スタイルを重視する者が増えてきました。首都圏を中心に地方回帰の流れが促進する中、奨学金返還支援制度への関心は今後さらに大きくなると考えます。  そこで、若者に選ばれる長野県を目指し、県においても、市町村とは別に、県の将来を担う人材を確保育成するために奨学金返還支援制度を創設する必要があると考えますが、産業労働部長に所見を伺います。  次に、ヤングケアラーの支援について伺います。  大人に代わって家事や家族の介護を行う子供、ヤングケアラーについて、本年4月、国の初めての実態調査結果が公表され、中学生のおよそ17人に1人が世話をしている家族がいる状況が明らかとなりました。  県教育委員会は、先月12日、県内の公立高校を対象にした初の実態調査の結果を公表。調査は、本年9月、公立高校の生徒を対象に実施されました。そこで、家族の世話を日常的に行い、身体的、精神的に負担を抱えている生徒が一定程度いることが明らかとなりました。ただ、こうした生徒には、誰かに相談するほどの悩みではないと感じる割合も大きく、問題は表面化しにくいことがうかがえます。今後、小学生や中学生、高校に通っていない生徒も含め、問題の背景を調査し、具体的な対応が求められます。  厚生労働省、文部科学省は、5月、ヤングケアラーの支援に向けた福祉、介護、医療、教育の連携プロジェクトチームを立ち上げ、調査研究を行い、その取りまとめを基に、ヤングケアラーについて早期発見・把握、相談支援など支援策の推進、社会的認知度の向上などに取り組む方針が示され、現在国において来年度の予算編成に向け検討が行われています。  そこで、これらの状況を踏まえ、次の4点について県の所見を伺います。  1点目、早期把握について。  今回の公立高校を対象にした調査では、ヤングケアラーの認知度は低く、聞いたことはないと回答したのは、全日制高校生67.5%、定時制高校生の82.0%でした。ヤングケアラーは、本人にその自覚がなかったり、家族の問題を知られたくないと思ったりしていることが少なくありません。国も、まずはヤングケアラーをいち早く見つけ、支援につなげることが重要だと考えています。  早期把握のための支援策では、教育、医療、介護、福祉の関係者、児童委員や子ども食堂などを対象に研修を実施し、ヤングケアラーへの理解を深めてもらうこととしています。子供たちの相談に乗るスクールカウンセラーやソーシャルワーカーの配置を支援して相談機能を強化し、福祉サービスのほか、民間の学習支援などにつなげていくことも重要であります。今回の調査結果に対する所見を伺うとともに、今後、小学生や中学生、高校に通っていない生徒の状況把握などどのように進めるのか、また、ヤングケアラーに対する認知度の向上のためどのような取組を行っていくのか、教育長に伺います。  2点目、相談支援について。  国の調査では、ヤングケアラーの6割以上が誰かに相談した経験がないと答えました。県の調査においても同様の状況がうかがわれます。神奈川県では、家族など身近な人の介護や看護を行うケアラーの支援制度や相談窓口の情報を一本化したケア等支援ポータルサイトを先頃開設しました。また、同サイトには、18歳未満の子供、ヤングケアラーに特化したコーナーも設けました。サイトの開設は、ケア等に対する社会的認知度を高めることが目的で、ケアラーが利用できる支援として行政サービスや悩みを共有できる場所などを掲載しています。長野県においてもケアラーに特化した相談窓口の開設が必要と考えますが、健康福祉部長に所見を伺います。  3点目、家事育児支援について。  国の調査では、世話をしている家族で最も多かったのは、中学生、高校生、いずれもきょうだいでした。県の調査においても同様の状況がうかがわれます。国の調査では、きょうだいの世話を始めた時期は小学生の頃からが多く、時間的余裕がないという回答も多く見られました。独り親家族の場合は、見守りのほか、家事や保育園への送迎など、担っている役割が大きいことも分かりました。このため、国では、家庭での家事や育児を支援する新たなサービスを創設するとしています。県においても、ヤングケアラーのいる家庭に対する家事育児支援について検討する必要があると考えますが、こども若者局長に所見を伺います。  4点目、介護サービスの提供について。  同居する家族に病気や障害があるなどして治療や介助が必要な場合、既に医療や介護の事業所のスタッフが家庭と関わりを持っていることがあります。しかし、どのようなサービスを利用してもらうかを検討する際に、子供による介護を前提としているケースがあるという指摘がありました。つまり、在宅で介護をする人がいると、介護サービスを利用する必要がないと判断されているおそれがあります。このため、国は、子供が主に介護を担っている家庭には、子供による介護を前提とせず、在宅向けの介護サービスの提供を十分検討するよう自治体などに周知することにしています。本県においても、ヤングケアラーがいる家庭に対する介護のサービスの提供の在り方について検討する必要があると考えますが、健康福祉部長に所見を伺います。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)まず、奨学金の返還支援について教育的観点からどのように捉えているのかというお尋ねでございます。  生まれ育った家庭の状況にかかわらず、全ての子供たちが自分の夢や希望の実現に向けて挑戦できる環境が教育的観点からいえば必要だというふうに考えております。支援策を検討するに当たっては、様々な観点からの検討が必要であることは承知しておりますが、多様な学びの機会が提供され、誰もがその資質能力を最大限発揮できるものであることが望ましいというふうに考えているところでございます。  それから、ヤングケアラーの実態調査に対する所見及び今後の実態調査や認知度向上のための取組についてというお尋ねでございます。  今回の調査におきまして、全日制高校生の2.1%、定時制高校生の3.8%が世話をしている家族がいるというふうに回答しておりまして、どちらも全国を下回る結果となっております。ヤングケアラーという言葉は新しい概念でありまして、認知が進んでいないことも明らかになったということでありますから、これが実態を正確に表しているかどうかについてはさらに検証が必要であるというふうに思っております。  家事や家族の世話をすること自体は本来すばらしい行為でありますが、それによって子供の権利が侵害されている場合があり、支援には子供の権利を保障するという視点が重要だというふうに思います。子供の状況に応じた支援を行うには、小中学生等も含めた実態把握が必要であり、市町村と連携した調査の実施についても検討していく必要があるというふうに考えています。  また、認知度向上のためには、子供たちだけでなく、日頃から子供たちに接する機会の多い教員やスクールカウンセラーをはじめ、医療・福祉関係者に対する啓発等が必要であるというふうに考えておりまして、県教育委員会では、スクールソーシャルワーカーを対象とした研修を実施したところでございます。  国は、来年度からの3年間を認知度向上の集中取組期間として広報啓発に取り組むこととしております。実態調査の実施及び啓発については、こうした国の動向も踏まえながら、庁内のプロジェクトチームにおいて検討してまいりたいというふうに考えております。       〔県民文化部こども若者局長野中祥子君登壇〕 ◎県民文化部こども若者局長(野中祥子 君)私には2問御質問をいただきました。  まず、奨学金返還支援の子育て支援、少子化対策としての有効性でございます。  少子化の要因である未婚、晩婚、出生数の減少には、特に若い世代の経済的不安感が大きな影響を与えているものと認識しております。本年7月に県が行った結婚や子育てに関する意識調査では、結婚の意向があるものの独身である理由について、結婚生活を送るには年収が少ない、または結婚資金が足りないことを挙げる者が多く、特に10代、20代の男性では約半数を占めています。また、実際に持つつもりの子供の数が理想の子供の数よりも少ない理由についても、子育てや教育にお金がかかり過ぎることを挙げる者が約半数に上り、理由の中でも最も多くなっています。  御指摘の奨学金返還支援を含め、若者の経済的負担の軽減は、こうした若い世代の経済的不安感解消につながるものと考えており、子育て支援、少子化対策を進める上でも重要な視点であると認識しております。  次に、ヤングケアラーのいる家庭に対する家事・育児支援についてでございます。  家庭での家事や育児を支援する事業としましては、子供の預かりや送迎等の援助を受けたい方と援助を行いたい方のマッチングを行うファミリー・サポート・センター事業、また、養育支援が必要であると認める家庭を保健師、保育士等が訪問し相談支援を行い、必要に応じて子育て経験者やヘルパーなどによる家事育児支援も実施する養育支援訪問事業がございます。県は、これらの事業に取り組む市町村に対してその経費の一部を支援しているところでございます。  ヤングケアラーのいる家庭に対する家事・育児支援に関しましては、まずはこうした既存の事業や、国が来年度創設することを検討している新サービスを実施主体である市町村に御活用いただくとともに、今後、これらの補助事業の実施状況、活用状況等を踏まえながら、必要な支援についても市町村とともに検討してまいりたいと考えております。       〔産業政策監兼産業労働部長林宏行君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(林宏行 君)奨学金返還支援制度の創設についてのお尋ねでございます。
     本県の労働者に占める30歳未満の若者の割合は12.8%、全国43位であり、全国平均の16.1%と比べても開きがございます。特に、中小企業からは若手の採用に苦慮しているという声も聞かれ、今後県内企業がDXやグリーン化を進めていくためにも、大学生等若年人材の確保は優先課題と認識しております。  アフターコロナを見据え、地方回帰の流れも期待されますが、若者に選ばれる企業や地域となるためには、労働環境や暮らしの充実が求められます。そのためには、若年世代の給与水準の向上、ワーク・ライフ・バランスの取れた働きがいのある労働環境の実現、子育ての支援や奨学金返還支援をはじめとする経済的な負担軽減など、様々な取組が考えられるところです。  このような中で、議員お尋ねの奨学金返還支援の検討に当たっては、本県の産業構造が様々な業種により構成されていること等を踏まえ、どのような取組が効果的であるか、産業界をはじめ多くの皆様と意見交換を重ねてまいりたいと考えております。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には2点御質問をいただいております。  まず、ケアラーの相談窓口についての御質問でございます。  家族の介護等を行うケアラーの支援に当たりましては、ケアの対象となる御家族や対象者御本人の実情に応じた相談対応が重要と考えております。  本県におけるケアラーの相談窓口としては、高齢者の介護に関する県内134か所の地域包括支援センター、それから、身体、知的、精神の障害に関する各圏域の障害者総合支援センター、難病患者に関する難病相談支援センター等がございまして、それぞれ専門の相談員が対応しております。  ケアラー全般にわたる窓口については、そのニーズを慎重に見極めていく必要があるだろうというふうに考えております。ただし、こうした福祉に関する相談先のうち、どこに相談することが適切かを分かりやすく示すことは大変重要であるというふうに考えております。ケアラーの状況に応じた支援につながるよう分かりやすい相談窓口の周知に本県としても取り組んでまいりたいと考えております。  それから、ヤングケアラーがいらっしゃる家庭に対する介護サービスの提供の在り方についての御質問でございます。  中高生などのヤングケアラーが介護力として扱われ、その結果、生活援助などの介護サービスの提供が十分になされないケースがあるとすれば、これは適切でないものと考えております。ヤングケアラーを含む同居家族がいる場合の介護サービスの提供に当たりましては、これまでも、生活援助に関して、単に同居家族がいることをもって提供できないというような取扱いはしないようにと、こういう趣旨について再三市町村やケアマネジャーに対して周知をしているところでございます。この趣旨を徹底していくために、まず個々のケアマネジャーがケアプランを作成するに当たって、中高生などが祖父母の生活援助を担い、結果として重い負担を強いられているようなケースがあるかどうか改めてケアマネジャーが再確認するよう、長野県介護支援専門員協会を通じて依頼をしてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔6番川上信彦君登壇〕 ◆6番(川上信彦 君)奨学金返還支援制度について、県の支援制度が創設されることにより、市町村にとっては地域の特性に応じた制度への移行が可能となり、企業においては財政面での負担軽減が期待され、若者にとっては県内企業に目を向け、就職先の選択肢の幅が広がることが期待されます。長野県の将来を担う若者のため、早期の制度創設を希望いたします。  ヤングケアラーの支援について、現在、国では来年度の予算編成を進めておりますが、それを実際にやるかどうかを決めるのはそれぞれの自治体の判断にかかっております。県においては、国の方針を基に長野県独自の支援体制を構築し、県内どこに住んでいても子供たちに必要な支援が届くよう、市町村や民間支援団体と協力し、具体的な対策を講じることを希望します。  以上で私の全ての質問を終了します。 ○議長(宮本衡司 君)次に、小林あや議員。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君)小林あやです。初めての一般質問となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。  まず初めに、私自身、つい先日まで市議会議員という市民に身近な行政に携わった者として、新型コロナウイルス対策における阿部知事の安定感のあるリーダーシップの下、県の御対応、特に宿泊療養施設の迅速なる確保には心より感謝申し上げます。あわせて、県民の皆さんが安心して暮らせるよう頑張っていただいている医療関係者、介護関係者はじめ、多くの現場の皆様に感謝を申し上げます。  それでは、交通アクセスの利便性について、今回は総合都市交通計画のうち松本都市圏総合都市交通計画に焦点を当て、質問させていただきます。  これは、平成23年3月に策定され、20年先の展望を見据えた計画とされていますが、既に10年余りが経過いたしました。松本都市圏は、特に1級河川に架かる橋の前後の交差点や国道19号などが恒常的に渋滞し、移動に係る負担は相当なものですが、この計画には渋滞解消に関する項目は盛り込まれておりません。しかしながら、渋滞対策は広域的視点で捉える問題であると考えられます。また、デジタル化や技術開発等の進展により新たな公共交通の在り方も期待されています。計画策定から10年余りが経過した今、中間評価及び時代に即した実効性の伴う内容への見直しが必要ではないかとの観点から、長野都市圏総合都市交通計画で触れられているような渋滞対策や、あるいは新たな公共交通の在り方も含め、これまでの計画の評価及び今後の方向性を建設部長にお伺いいたします。  次に、公共交通の利用促進に関して、移動の利便性を高める手段の一つに、交通系ICカードの導入やキャッシュレス決済があります。これは、利用者にとっては大変利便性の高いシステムである一方、導入が複雑であったり高額であったりするため、民間交通事業者単体での導入は厳しいのが現状です。市町村とも連携を図りながら、導入に向けた支援制度の創設が必要だと考えますが、企画振興部長にお伺いいたします。  続きまして、病院など主要施設周辺の道路の安全、安心の確保について、県内のコロナ患者を受け入れ、現場の最前線で奮闘した松本市立病院の再整備に当たり、建設地が本年9月、上高地線波田駅前の市所有地に決定しました。令和8年度の開院が予定されています。この波田駅は、歩道や自転車道の整備等を必要とする地域拠点に位置づけられている交通結節点でもあります。しかし、県道25号塩尻鍋割穂高線と国道158号の接続点は、見通しが悪い上に合流しにくく、南北へのスムーズな移動を妨げる要因となっています。北に向けては、自動車のすれ違いもままならないほど狭い道幅が続いております。  また、昨日の清沢議員の質問と重なりますが、梓川橋は、歩道がない上に、道幅も狭いため、駅に向かう朝夕の通学・通勤者の安全が脅かされ、常に危険にさらされています。地元で郡道坂と呼び親しまれている県道25号を南下すると、三差路のカーブに差しかかりますが、大型トラックの往来が激しい一方、非常に狭いため、車のすれ違いができずに頻繁に立ち往生する姿が見受けられます。  松本市は、波田駅を中心としたまちづくり計画を今後策定する予定であると聞いております。このように、市町村が行うエリア一体の観点からのまちづくりに対しては、県と市町村が連携して交通の利便性を高める取組を進める必要があると考えますが、上述した波田駅周辺の道路整備について建設部長にお伺いいたします。  次に、中部縦貫自動車道についてです。  私は、松本市議会議員時代、31名中27名が加盟する議員連盟の会長を務めておりました。この道路は、国全体としての必要性があるというマクロの視点、また、国道158号線のバイパスとして安全性、速達性の確保というミクロの視点の両方から捉えられなければならない道路です。この道路を含む国内の高規格幹線道路を通す計画、四全総は87年に策定され、既に85%が完成しているにもかかわらず、この道路はいまだ完成が見通せておりません。また、松本以西から北陸方面にかけ、交通空白地帯を生じさせる要因ともなっており、早期の完成は喫緊の課題です。これは、確かに国の事業ではありますが、本県としても、一日も早い完成に向け、知事に積極的に動いていただきたいと願っておりますが、知事の意気込みをお伺いいたします。  次に、食肉加工施設についてです。  かつて県内に24か所あった屠畜場は、時代の変遷とともに統合、再編され、現在は中野、松本の2か所のみとなりました。一方、畜産農家数は時代の変化とともに集約化され、その数は大きく減少し、現在中南信地方では南信州に多いという状況です。現存の食肉処理施設は、運営形態は民間企業という位置づけですが、地方自治体も出資者となっており、加えて、老朽化も著しく、今後の在り方が問われています。  しかし、それぞれのステークホルダーの便益帰着にも配慮する必要があります。デリケートな問題でもありますし、一自治体の圏域を超える問題においては県の関与が欠かせないと感じております。県では、9月に食肉施設検討会を立ち上げましたが、今後はより一層の調整役としての役割を果たすことが期待されています。また、地方自治の観点も踏まえつつ、様々な選択肢を排除することなく、解決に向けて手腕を発揮することが求められます。今後の県の関与の在り方、解決に向けた具体的手法について農政部長にお伺いします。  最後に、特別支援学校について質問します。  児童生徒数が今後も増えると予測されていますが、整備基本方針が本年3月に策定されました。基本理念や学びの改革は大変共感できるものです。  現地を視察させていただく中で、すばらしい発見も多々あった一方、手狭な教室、即席で用意された屋根のない玄関、現代の子は洋室が主流の中、畳に布団を敷いて寝る寄宿舎の造りなどを目の当たりにし、教育・居住環境が必ずしも時代に即したものとは言い難い状況も見受けられました。子供の個性や尊厳を認め、慈しみ育てる環境は、まさにこれからと感じた所存ですし、保護者の方々のお声に寄り添いながら課題を解決させていく姿勢も必要だと感じています。  県は、この基本方針を具現化するために、今後どのような手段で、どのようなスケジュール感で策を講じていく予定でいるのか、ハード、ソフトの両面から教育長にお伺いします。       〔建設部長田下昌志君登壇〕 ◎建設部長(田下昌志 君)初めに、松本都市圏総合都市交通計画の評価と今後の方向性についてのお尋ねでございます。  本計画は、策定に当たり、人の動きを詳細に調査するパーソントリップ調査を実施し、公共交通も含めた交通手段の利用実態を把握、分析した上で取りまとめを行っており、課題に対する目指す姿を実現するために拠点間を連携する道路網構築、公共交通の利用促進など五つのプロジェクトを掲げてございます。  その具体的な取組として、国道19号の渋滞対策や松本糸魚川連絡道路の推進、駅前広場の整備、オンデマンドバスや周遊バスの導入など、それぞれの実施主体において関係機関と連携しながら着実に推進を図っているところでございます。  策定後10年が経過しておりますが、都市圏交通の目指す姿や骨格となる道路の位置づけは変わりなく、また、平成28年以降、本計画に沿った内容により、コンパクトプラスネットワークを目指す立地適正化計画や、地域公共交通計画などの具体的な個別計画が順次松本市などで策定されてきております。今後、これらの個別計画に基づく具体的な施策についても実施主体において確実に取り組んでいくとともに、広域的な観点による都市交通の新たな課題が生じているかなど、本計画見直しの必要性について関係市町村とともに検討してまいります。  次に、松本市立病院及び波田駅周辺の道路整備と安全対策に関するお尋ねでございます。  県道塩尻鍋割穂高線の中波田から梓川橋の間につきましては、人家が連なり、狭隘で歩道がない区間もあるため、安全で円滑な通行の妨げになっていると認識しているところでございます。梓川橋につきましては、自転車や歩行者の安全確保をするため、地元との調整の中で路面にドットラインを施工し、スピード抑制を図っているところでございます。また、中波田の三差路付近でも、路面標示等による交通安全対策を実施してきたところでございます。引き続き地元の皆様の御意見を聞きながら必要な対策を講じてまいりたいと考えております。  また、国道158号から梓川橋に至る区間につきましては、市立病院の移転に伴い、松本市で検討する波田駅周辺のまちづくり整備構想をお聞きする中で、広域的な道路網を視野に入れ、整備の在り方について市と調整をしてまいります。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)公共交通機関のキャッシュレス決済導入に向けた支援制度の創設についてというお尋ねです。  キャッシュレス決済には様々な形態がありまして、現在県内の幾つかの自治体でモデル事業が実施されているところであります。また、県でも、高速バス等の利用促進のためのキャッシュレス導入の事業者支援を行っているところであります。  平成29年度に設置いたしました交通事業者、市町村、学識経験者等で構成します検討会におきまして、地域独自の機能を付加できることも踏まえて、JR東日本が提供いたします地域連携ICカードを軸に検討を進めるとされたところであります。しかしながら、初期投資やランニングコストなどの費用面での課題が大きいとされておりまして、先月開催いたしました長野県公共交通活性化協議会におきましても、事業者から、キャッシュレスの導入はよく分かって理解しているけれども、コロナ禍でとても投資余力がないという声が出されたところであります。  いずれにいたしましても、キャッシュレス決済の導入は公共交通の利便性向上に欠かせないものと考えております。県内で多くの方が利用できる決済手段を早期に導入また普及できますよう、交通データの連携ができる環境整備を進めますとともに、この協議会におきまして交通事業者や市町村とともに鋭意検討を進めてまいります。  以上です。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)私には、中部縦貫自動車道の早期完成に向けて積極的に取り組んでいただきたいがどうかという御質問でございます。  中部縦貫自動車道は、本州内陸部と日本海側との往来を飛躍的に向上させ、本州中央部に広域的な交流圏を形成する路線であります。そういう観点で、本県の産業振興、観光振興に欠くことができない重要な道路だというふうに考えています。  また、本県のみならず、激甚化、頻発化する災害に対して、高速道路のミッシングリンクを解消し、災害に強い道路ネットワークを形成する国土の強靱化を担う道路でもあるというふうに考えております。したがって、早期整備が大変重要な路線だというふうに考えております。このため、事業中の松本波田道路については、県が国から用地買収事務を受託し、用地の確保に協力してきたところであります。また、未整備区間であります波田―中ノ湯間につきましては、昨年度から国、市と私ども長野県による検討会を設置して、整備方針の本格的な検討に着手しております。国への働きかけにつきましては、これまで長野県単独でも要望してきておりますが、関係県と一緒に中部縦貫・北陸関東広域道路建設促進同盟会を結成しておりますが、この同盟会におきましても中部縦貫自動車道の建設促進について国土交通省、財務省への要望等を行ってきております。  また、沿線の市町村の皆様方と岐阜県、長野県が入った中部縦貫自動車道建設促進長野・岐阜連絡協議会でこの8月に国土交通省に要望を行っております。その場におきまして、私から中部縦貫自動車道の必要性を訴え、予算の確保と一日も早い整備を国土交通省に強く求めたところでございます。  今後も、岐阜県や沿線の市町村、地元の経済団体、さらには地域の皆様方とも連携を図りながら、中部縦貫自動車道が一日も早く全線開通することができるよう積極的に取り組んでいきたいと考えております。  以上です。       〔農政部長小林安男君登壇〕 ◎農政部長(小林安男 君)私には、食肉処理施設について御質問をいただきました。  県では、持続可能な本県の食肉流通体制を構築していくため、食肉関係者との検討を踏まえ、県内の食肉流通の方向性を示す長野県食肉流通合理化計画を本年6月に策定いたしました。その合理化計画に基づき、県としましては、9月17日に生産者、市町村、食肉施設関係者で構成する長野県食肉施設検討会を立ち上げ、合理化計画に沿い、当面の間2施設を維持することを議論のベースとして施設の今後の在り方について検討を開始したところです。  また、松本市と中野市にある2施設は運営上の課題が異なっておりますので、施設ごとに作業部会を設置して、老朽化している施設への対応など、具体的な議論を通じて関係者の間で協議が進むよう先導してまいります。  以上でございます。       〔教育長原山隆一君登壇〕 ◎教育長(原山隆一 君)特別支援学校整備基本方針の具現化についてのお尋ねでございます。  長野県特別支援学校整備基本方針では、児童生徒一人一人の教育的ニーズに応じたソフト面である学びの充実と、それを支えるハード面である環境整備を行うこととしたところでございます。  このうち、まずソフト面への対応は、一人一人の可能性が最大限伸びる学び、共生社会の実現に向けた協働の学び、多様な教育的ニーズに対応する専門性の向上、身近な地域での学びの充実を大きな柱として取り組むこととしております。  具体的には、一人一人の生活上や学習上の課題をより効果的に解決できるようICTを活用した学びの充実、また、居住地の学校に副次的な学籍を置き、地元の友達との交流を促進する取組の拡大、さらに、これまで計画的に増員してきた自立活動担当教員を中心とする専門性サポートチーム等による特別支援学校及び小中学校の教員の対応力向上等の取組などを着実に進めてまいりたいというふうに思っております。  また、ハード面の対応については、これまでも、老朽化する施設設備に対しては、中長期修繕・改修計画を策定し計画的に取り組むとともに、狭隘化に対しては、校舎の増築や分教室の設置、特別支援学校の再編整備等を行い対応してきたところでありますが、引き続き教育環境の改善が必要な状況が続いているところでございます。  そこで、今後は、この基本方針に基づきまして、学校ごとに、建築年数や児童生徒数の将来推計等を十分に踏まえ、必要性の高い学校から個別計画を策定の上計画的に順次整備していく予定でございます。その際には、保護者、地域等の関係者、有識者等の意見も丁寧に伺いながら、個々のニーズに応じた学びや共生社会の実現に向けた協働の学びが具現できる学習空間となるよう整備してまいりたいというふうに考えております。       〔3番小林あや君登壇〕 ◆3番(小林あや 君)交通アクセスの利便性、安心して教育が受けられる環境、それぞれ県民の関心が非常に高い分野でございます。どうか引き続きよろしくお願いいたします。  そして、食肉処理施設でございますけれども、今後の進捗をまた注視してまいりたいと思いますので、よろしくお願いたします。  以上で私の全ての質問を終わります。ありがとうございました。 ○議長(宮本衡司 君)次に、和田明子議員。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)加齢性難聴者への補聴器購入補助について伺います。  ちょうど1年前のこの議会で山口県議が質問をしました。健康福祉部長は、県内には65歳以上の高齢者が約65万人おり、社会保障分野の新たな制度をつくる際には県民の幅広い理解や財源を含めた持続可能性の検討も必要と考える。認知症予防への補聴器の効果を検証する研究成果やこれを踏まえました国の動向につきましても注目される。補聴器購入への助成制度を独自に設けることについては慎重に考えざるを得ないものと認識していると答弁され、大変がっかりいたしました。その後も大変要望が多く寄せられているところでございます。  難聴者の人口は、一般社団法人補聴器工業会の推計では全国で1,430万人と言われております。そして、高齢化率を考慮すると、さらにそれを上回る2,000万人に及ぶのではないかということも言われております。長野県の65歳以上の高齢者が65万人を超えており、70歳以上の高齢者のおよそ半数は加齢性難聴と推定されることから推計いたしますと、長野県では、少なくとも数万人から、多ければ30万人の難聴者がいることになります。県はその実態をどのようにつかんでいるのか、伺います。  難聴者が早い段階で気づくという点で、特定健診に聴力検査を加えることが望ましいと考えておりますが、いかがでしょうか。難聴に早期に気づくために、県民に、聴力検査の必要性など、機会を捉えて知らせていただきたいと思いますが、いががか。伺います。  年齢とともに聴力が低下するいわゆる加齢性難聴は、日常的な会話を困難にし、生活の質を落とす大きな原因と言われています。また、コミュニケーションの機会が減ることにより、脳機能が低下し、認知症発症のリスクが高まることや、社会的に孤立し、鬱状態に陥ることもあることが指摘されております。  加齢性難聴者の聞こえの改善のためには補聴器の使用が欠かせませんが、補聴器は、高額の上に健康保険等が適用されないため、特に低所得の高齢者にとって購入に係る費用負担は切実です。  木曽町では、高齢者の生活支援及び社会参加の促進を図ることを目的とする補聴器購入の補助を2015年から実施しています。さらに、県内において補聴器購入に対する補助を実施する自治体が広がりつつあります。高齢化率の高い長野県において加齢性難聴者への補助は、特定の一部への支援ではなく、長野県にとって必要な施策と考えるが、いかがか。健康福祉部長に伺います。  次に、知事会見のリアルタイム字幕表示について伺います。  県として様々な情報提供を行う場合、より多く、より正確に伝えることが求められていると思います。既に知事会見では手話通訳により聴覚障害の方々にも情報を伝える努力がされております。しかし、加齢性の難聴や病気、事故などにより聴力が失われた方々は、手話では情報を十分に理解することができません。そういった方々への情報を伝える方法として、リアルタイムで字幕表示をすることで、より多くの方々に正確に情報を伝えることができると思います。今のところこれは行われておりませんけれども、その理由は何なのか、字幕表示ができないか、お聞きします。  また、音声認識アプリUDトーク、ユニバーサルデザインを支援するためのアプリとして、聴覚に障害のある方のコミュニケーションを支えることのほかに、外国語への自動翻訳などができ、既に様々に利用が進んでいます。この音声認識アプリで多言語翻訳を活用して字幕配信することによって、県内在住の外国人の方々にも知事会見等の情報を伝えることができると思いますが、いかがか。併せて企画振興部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)私には、加齢性難聴者への補聴器購入費補助等に関しまして御質問を頂戴しております。  まず、加齢性難聴の実態等についての御質問でございます。  国立長寿医療研究センターの調査による推計によりますと、全国の70歳以上の方のうち、日本聴覚医学会の基準に基づき25デシベル以上の音でないと聞き取れない難聴のある方は6割を超えるとされております。令和元年度に県が実施した高齢者生活・介護に関する実態調査では、外出を控えている方にその理由を尋ねたところ、聞こえに問題があることを理由とした方は要支援・要介護認定者で14.7%、それ以外の元気な高齢者でも13.3%いらっしゃいました。こうしたことからも、加齢性難聴者は多数いるものと推測しております。  特定健診につきましては、生活習慣病対策を充実強化することを目的に、保健指導が必要な方を的確に抽出することを主眼として、身体計測や血液検査など特定の項目に限定して実施することが省令で定められておりまして、現状では聴力検査を加えることができません。  しかしながら、加齢に伴う聴力の衰えは、他者とのコミュニケーションが取りづらくなり、社会参加しようとする意欲を低下させかねないことから、本人あるいは家族など周囲の方が早期に気づき、適切な対応につなげるためにも、聴力検査の受診勧奨を含めて、加齢性難聴に関する必要な認識を持っていただけるよう啓発を図ってまいりたいと考えております。  それから、2点目に補聴器購入に対する補助事業についてでございます。  身体障害の認定基準では、一定の基準以上の高度難聴・重度難聴の方を障害福祉サービスの対象として補聴器の購入費用に対する公費負担の制度がございます。その基準に満たない高齢者に対して独自に助成制度を設けている市町村があることも承知しておりますが、現時点では全国的にも少数にとどまっております。また、先ほど御質問の中にもございましたが、本年4月1日現在で県内には65歳以上の高齢者が約65万人と多数いらっしゃる状況でございます。県独自で新たな制度を設けることにつきましては、財源の問題がございまして、現時点では持続可能な制度を創設することは非常に難しいというふうに考えております。  一方で、加齢性難聴は認知症の危険因子であるとの可能性も指摘されており、国立長寿医療研究センターにおいて補聴器による認知機能低下予防の効果を検証する研究が進められております。例えば、こうした研究で一定のエビデンスが実証されれば、公費による負担についても理解を得られやすくなると考えております。この場合、当然国で制度化することが必要というふうに考えておりますけれども、いずれにしましても、こうした動向について注視してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔企画振興部長伊藤一紀君登壇〕 ◎企画振興部長(伊藤一紀 君)知事会見のリアルタイム字幕表示について2点お尋ねです。  まず、リアルタイムでの字幕表示が行われていない理由ということですけれども、リアルタイムでの字幕表示には、要約筆記による方法と、御紹介にもありましたように、音声認識アプリUDトークを用いて起こした文字データを手作業で修正する方法、この二つが考えられます。しかしながら、これに当たりましては、要約筆記者等の人員を十分に確保すること、きちんとした資料を事前に提供すること、知事が伝えるだけの会見だったらいいんですけれども、記者とのやり取りもありますので、なかなか対応が難しい状況であります。さらには、もちろんこれに向けて我々の仕事の仕方の見直しも必要であると考えておりまして、導入には至っておりません。  現在パブリックコメントを行っております長野県障がい者共生社会づくり条例(仮称)骨子案におきましても、県は、障害特性に応じた意思疎通の手段を利用して情報発信するよう努めるというふうに掲げておりますので、今後、障害者団体等の御意見も伺いながら、よりよい県政情報の発信の方法について検討してまいりたいと考えております。  次に、多言語での字幕配信ということですけれども、現在、県の公式ホームページにおきましては、外国語自動翻訳機能を導入して9言語で御覧いただけるようにしております。同様に、新型コロナウイルスに関する情報は、長野県多文化共生相談センターのホームページで17の言語により対応しております。また、防災に関する情報は、長野県防災情報ポータルで七つの言語というように、多言語での県政情報発信に努めているところです。
     一方、字幕配信となりますと、なかなか容易ではありません。UDトークの多言語翻訳サービスは、日本語として音声を認識したものを他の言語に自動翻訳する仕組みです。例えば、専門用語が正しく認識されないですとか、マイクを使っていないとか、声質や話し方などに左右されまして、日本語としての音声認識の精度が必ずしも完全ではありませんので、それを基に他の言語に翻訳したものはさらに精度が低下するというおそれがあります。県が発信する情報は、即時性も大事ですけれども、まずは正しく伝えるということが大前提であると考えておりますので、今後の技術進歩、精度の向上を期待することとしておりまして、現段階で導入は考えておりません。  以上です。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)ただいま御答弁いただきましたけれども、UDトークを利用することは大変便利になってきておりまして、かなり精度も高くなってきております。参考ですけれども、東京都では既に昨年12月から知事会見でUDトークを使って字幕配信を行っておりますので参考にしていただければと思います。  それでは、次に、新型コロナウイルス感染症について伺ってまいります。  第5波では、変異株の猛威もあり、感染が急激に拡大いたしました。医療関係者、保健所をはじめ、御尽力された皆様に感謝を申し上げるところでございます。新たにオミクロンという変異株について報じられ始めました。引き続きワクチン、検査、医療など、新型コロナウイルス感染症対策をお願いするところです。  第5波の感染拡大で確保した病床は529床、宿泊療養施設は806室、1,335人分です。8月19日に過去最多の158人の新規陽性者が確認され、県内の全療養者が最高になったのは8月27日の1,107人でした。8月27日には入院は241人で、占める割合は21%、宿泊療養は251人で23%、自宅療養者は370人で34%、その他調整中が245人ということでございます。  第5波の振り返りで、宿泊療養者、自宅療養者の健康観察を行い、症状が悪化した場合には入院調整をしていたということでありますけれども、第5波において入院になった方は何人だったのか、伺います。  また、自宅療養者が全療養者の3割から4割に上る状況でございました。病床を529床確保されましたけれども、入院は300人未満でありました。8月3日に、菅前総理が自宅療養が基本と医療団体に要請をするということがあり、一斉にその方針の撤回をという声が上がりました。改めて、軽症、無症状であっても容体が急変するコロナウイルス感染症患者の治療は、入院・宿泊療養が基本と考えるものですけれども、いかがか、お伺いいたします。  第6波に備えて、厚生労働省はコロナ病床を増やすよう求めており、県は、緊急的対応病床も含めて650床以上確保できる見通しと、また、宿泊療養施設をさらに1施設増床するとしています。私は、基本は入院であり、自宅療養は極力減らしていくべきと考えております。第6波に備えて確保した病床を最大限に生かすために、治療後速やかに宿泊療養に切り替えるなど、治療をまず行いつつ、医療機関の負担に配慮する効率的な運用になるのか、お伺いいたします。  また、今後の感染拡大に備えて、病床、宿泊療養施設を第5波の1.43倍対応可能としておりますが、療養者数が推計値1,583人を上回る場合の対応として、臨時的医療施設を開設する。臨時的医療施設では、医療人材については公立・公的医療機関の開設者等に派遣を要請するとあります。療養者が急増し入院の調整が厳しい状態になる前に臨時的医療施設が必要と考えますが、いかがか、伺います。  確保病床使用率については、8月下旬には50%前後と高い水準になり、8月29日の55.7%がピークで減少に転じたものの、医療圏ごとの感染状況により確保病床の6割程度の使用率で病床が逼迫する地域があり、入院の調整が厳しい、圏域内だけでは感染者の受入れができないという事態に、広域的に対応などの状況になったわけでございます。  確保病床の6割程度の使用率で病床が逼迫する地域では、コロナ感染者の治療だけでなく、一般の患者を受け入れることにも制限があるなど、地域の医療全般が足りない。医師、看護師をはじめとして、医療人材が足りない。そのために感染者の受入れができないという事態があったなど、第5波の振り返りをして課題も示されております。県はこの点についてどう認識しているのか、お伺いいたします。  地元の新聞が公立・公的病院に行ったアンケートでは、9割の病院で医業収益が前年割れをしたと報じられております。公立・公的病院をはじめ、医療機関の経営状況をつかむべきではないかと従前から繰り返し求めてまいりました。改めて経営状況の把握をしていただきたいが、いかがか。健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)新型コロナウイルス感染症について5点御質問を頂戴いたしました。順次お答え申し上げます。  まず、宿泊療養や自宅療養から入院になった方の状況についてのお尋ねでございます。  本県では、新型コロナウイルス感染症対策専門家懇談会の意見を踏まえて振り分け基準を定めております。これによって療養先の振り分けを行っておりますが、重症や中等症患者はもちろんのこと、軽症や無症状の方であっても、高齢者や基礎疾患のある方は入院としているところでございます。  また、入院が不要な方は宿泊療養を原則としておりますが、例外としては、日本小児科学会の見解を踏まえて、小児等は自宅療養を基本としているところでございます。第5波におきましても、この基準に従いまして療養先が決定されておりまして、入院、入所を必要とすると判断された全ての方は病院または宿泊療養施設で療養していただいたところでございます。  新型コロナウイルス感染症の特徴といたしまして、発症後数日間経過した後に症状が増悪する場合がございます。このため、療養期間を通じて質の高い健康観察を実施しております。その上、症状が増悪した場合は直ちに入院できる体制を整えているところでございます。第5波におきましては、宿泊療養者1,687人中185人、自宅療養者1,271人中99人の症状が増悪いたしましたが、直ちに入院につなげることができたところでございます。  また、この第5波におきまして、自宅療養者が全療養者の3割から4割に上ったという御指摘でございます。家庭内感染の拡大によりまして、第5波において多くの小児とその家族が自宅療養になったことが大きいというふうに考えております。今後は、第6波に向けまして、新たに策定いたしました保健・医療提供体制の整備計画に基づきましてさらに万全を期して受入れ体制を整えてまいりたいと考えております。  それから、2点目に病床の効率的な運用についての御質問でございます。  効率的な運用が必要ではないかという御指摘は、おっしゃるとおりだと思っております。第5波では、振り分け診察を行う感染症指定医療機関等と連携いたしまして、陽性確定後の振り分け診察時に中和抗体薬の投与の可否を判断し、必要な場合は早期治療を行うことにより、症状が軽快した方を宿泊療養へ切り替える取組を行いました。こうした取組や、比較的入院期間の長い高齢者の感染が減少したことなどによりまして、平均在院日数は第4波の11日から8日に短縮いたしました。こうした入院日数の短縮化等による効率的な病床の運用効果もありまして、入院が必要な方は全て入院することができたという状態であったわけでございます。  今後とも、入院医療機関と宿泊療養の連携を図りまして、限られた医療資源を有効に活用しつつ、入院が必要な方が確実に入院できるよう、医療関係者等の連携をきちんとしてまいりたいというふうに考えております。  それから、3点目に臨時的医療施設についての御質問でございます。  今後の感染拡大を見据えた保健・医療提供体制として、最大療養者数を1,583人と推計した上で患者受入れ病床の拡充を図ったところでございます。この1,583人の推計値を大幅に上回るような療養者が毎日発生して、入院すべき患者が入院できなくなるような事態が懸念される場合は、まず緊急的対応病床の拡充を医療機関に働きかけるとともに、軽症者や無症状の患者を受け入れる宿泊療養施設のさらなる増設を行うことを考えておりますが、さらに、これに加えて、最悪の事態を想定し、酸素投与を必要とする中等症の患者を収容できる臨時的医療施設の開設を考えているところでございます。こうした感染拡大時の医療提供体制については既に検討を進めておりますが、医療人材の確保など詳細な点についてさらに医療関係者と協議を進めてまいりたいと考えております。  それから、4点目に医療人材が足りず感染者の受入れができない事態が生じているのではないか、どう認識しているのかと、こういう御質問でございます。  本県では、これまで、順次患者受入れ病床の拡大を図ってまいりましたが、特に、一般医療とコロナ医療の両立に留意しながら、確実に受入れ可能な病床を病院と合意した上で確保しているところでございます。したがいまして、確保病床、緊急的対応病床のどちらにつきましても、医療人材の問題も含めて対応可能という御見解を伺った上で確保させていただいているという状況でございます。  特定の圏域で感染が急拡大して病床が逼迫する場合も当然ございますが、患者受入れ調整本部で圏域外への入院調整を速やかに行っておりますので、本県では、これまで、入院が必要な方が入院できないという事態は避けられたというふうに認識しております。  先ほど申し上げましたとおり、想定以上に感染が拡大して医療人材が不足する場合も考えられます。こうした場合は、人材派遣の活用のほか、感染症法に基づく協力要請を行って人材を確保することなど様々に検討してまいりたいと考えております。  それから、医療機関の経営状況の問題でございます。  新型コロナウイルス感染症対応下での県内の病院の経営状況につきましては、受診控え等により状況は非常に厳しい反面、これは医療機関によって様々状況はあるかと思いますが、空床確保料等の補助金によりまして一定程度補填されていると認識しております。これは、国が先月公表いたしました医療経済実態調査の結果でも現れておりまして、令和2年度の精神科を除く一般病院の1施設当たりの利益率は6.9%の赤字となった一方で、空床確保料等の補助金を加味すると0.4%の黒字になっております。  今後、第5波の収束とともに、受診控えが収まることが期待されるところでございますけれども、県といたしましては、病院関係者との懇談会等を行っておりまして、今後とも、様々な機会を捉えて経営状況の把握に努めてまいりますし、また、経営支援につきましては、地域医療体制維持の観点から十分な支援を行うよう先月も国に要望したところでございまして、引き続き知事会等とともに国に求めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)第5波の中でも、自宅療養、宿泊療養から、症状の悪化に伴って入院調整をした方が相当おられたというこの実態の中で、自宅療養はできるだけ回避していくよう県でも御努力をいただいているところでありますが、家庭内感染という事態の中で、子供たちも含めて自宅療養を余儀なくされるということですけれども、宿泊療養施設等の工夫によってできるだけ医療の見守りの近くで療養ができる、そういう形をこれからも取っていくと若干書かれておりましたので、期待しております。ぜひよろしくお願いしたいと思います。  次に、後遺症について伺ってまいります。  後遺症について、国立国際感染症センターが公表したアンケート結果によると、新型コロナウイルスに感染した人の4人に1人は半年後も後遺症と言われる何らかの症状が見られたということでございまして、長野県のこの間の感染者の累計は8,800人を超えており、4人に1人の割合で推計いたしますと、2,200人前後の方が後遺症に悩んでいるのではないかと思われます。長野県として後遺症について追跡調査を行っているのか、伺います。  後遺症の症状についても様々な現れ方があり、コロナ感染症は軽症であっても、後遺症は重く、日常生活に支障を来すほどつらい、仕事を継続することができないなど深刻なケースがあるように、後遺症で苦しんでいる方々に対して県は相談対応を行う体制を整えていただきたいが、どのような状況になっているのか、お伺いしたいと思います。  また、既に山梨県、高知県、岡山県などでは、大学附属病院等で後遺症の専門の外来を開設しているとお伺いしております。長野県では後遺症への医療提供をどのように対応するのかをお伺いしたいと思います。  次に、保健所の体制について伺います。  コロナの感染拡大に対応するために、保健師、臨床検査技師、事務職員等の臨時的な任用や、定数を増やして何とかこの大変な感染拡大を乗り越えていただきました。コロナの対応業務量の増大に対応して増やした保健所職員のこの体制を今後も維持するのか、伺います。臨時的とはいえ、保健師、臨床検査技師など、資格を有し、専門性の高い職員によって新型コロナウイルス感染症対策に当たっていただきました。その他業務も含め、臨時的に増やした職員を定数化し、正規職員増を進めてほしいと思います。国においても、昨年から保健所の体制、職員増の予算を増やす方針を示し、保健所職員の強化の必要性を認めているところと思いますが、そのための予算は確保されているのか。国に対して予算を増やしていただくように求めていただきたいと思いますが、この点について健康福祉部長に伺います。       〔健康福祉部長福田雄一君登壇〕 ◎健康福祉部長(福田雄一 君)続いて3点御質問を頂戴しております。  まず、後遺症についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の症状の遷延、いわゆる後遺症でございますが、これについてはまだ明確な定義はございませんけれども、保健所や長野県健康観察センター等におきまして、退院または療養解除後、一定の期間が経過した後に電話等で連絡を取り、健康状態を確認したり症状についての御相談をお聞きする、こういう対応を行ってまいりました。それによりますと、倦怠感や嗅覚障害といった何らかの症状を有する方もおられます。例えば、8月4日から11月24日までの対象者で見ますと、療養解除後、約4週目で20.9%の方が何らかの症状ありと、こういうデータもございます。こうした方については、必要に応じて医療機関を受診していただくよう勧めるなどの対応を行ってきたところでございます。  それから、後遺症の相談対応や医療提供についてのお尋ねでございますけれども、後遺症の対策については、今後対策を強化したいというふうに考えております。具体的には、後遺症の相談窓口としては、従来の保健所の対応に加えまして、受診・相談センターの機能を拡充して対応してまいります。受診・相談センターで相談対応を行うことにつきましては、療養解除された方に一層の周知を図りまして、後遺症を疑う症状がある方が症状に応じて適切な医療機関を受診できるよう、相談対応にまず応じてまいりたいと考えております。  また、診療体制につきましても、治療が可能な医療機関との連携を進めておりまして、困難な事例については、地域の医療機関から専門的医療機関を紹介する体制も整えております。後遺症についても、症状に応じて適切な医療機関で治療が受けられるようにしていくということは非常に重要でございまして、そういう医療提供体制の構築を図ってまいりたいと考えております。  それから、今後の保健所の人員体制についてのお尋ねがございました。これまで、新型コロナウイルス感染症対応のため、保健師や臨床検査技師の増員、さらには臨時的任用職員等の任用などによりまして保健所の人員体制の強化を図ってきたところでございます。今後も、感染の再拡大に備えまして、引き続き必要な人員体制の確保に努め、確実にコロナ業務に対応できる体制を維持してまいります。  なお、コロナ収束後につきましては、保健所が行う健康増進、精神保健、食品生活衛生など、県民の生活を支える業務を確実に行える人員体制は当然維持してまいりますし、新興感染症などの対応も踏まえて体制の構築を図ってまいりたいと考えております。  今般、コロナ対応のため強化した保健所の体制を必要に応じて維持していくためには、増員した職員の人件費などの経費に対し地方財政措置や国庫補助金の拡充が必要であると認識しております。先月、全国知事会新型コロナウイルス緊急対策本部の緊急提言として、積極的疫学調査や入院等の調整などを確実に行うための保健所機能の強化に対し支援を行うよう国へ要望したところでございます。今後も、全国知事会等とともに、保健所の体制維持に必要な予算措置を国に要望してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔39番和田明子君登壇〕 ◆39番(和田明子 君)今、後遺症に対しても相談体制を整えていくとか、専門的な医療への接続ということに対しても体制を整えていくということでございました。入院、宿泊療養をしていただいた、また自宅療養をしていただいた方の後追いの調査は相当丁寧にやっていただく必要があると思います。コロナ対応で本当に大変な中、感染急拡大に備えて、人員も含めて保健所の体制を整えていただきましたけれども、今後、コロナの終息があったとしても、感染された方への様々な対応、そしてその他の保健所の業務は決して少なくなるわけではございません。引き続き保健所の体制が維持できるように全国知事会からも支援を要請しているということですけれども、県としても強力に要請していただいて、体制をさらに強化していただくことを要望し、質問の一切を終わります。 ○議長(宮本衡司 君)会議規則第13条第2項の規定により、本日はこれをもって延会いたしたいと思います。  次会は、明2日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後4時7分延会...